介護施設にメイクの
ボランティアに行ってきました。

なぜ行きたかったのか・・・?

いいことしようとか、
おばあちゃん達の喜んでくれる顔が見たいから・・・

とか、そんな綺麗な気持ちじゃありません。


わたし、自分のおばあちゃんがキライなんです。

というか、苦手なんです。

私のおばあちゃんは、
70代半ばから認知症を患いました。

どんどんひどくなり、
もともと足腰が弱かったため、

あっという間に寝たきり状態・・・

母を中学1年生のときに亡くしていたので、
家事やおばあちゃんのお世話はほぼ私でした。

そのころの20代前半の私・・・

父はまだ現役バリバリの会社勤め、
弟は中学生・・・

おばあちゃんの面倒と、
弟の面倒を見ないといけないから、
近くに就職しなさいと父からいわれていたので、そのとおりにしました。

会社のお昼休みには、一度自宅に帰り、
おばあちゃんにご飯を食べさせてあげたり、
帰ってからも家事は、ほぼ私がしました。

家に帰りたくないんです・・・

一番最初に帰った人が、
おばあちゃんが撒き散らした汚物の処理をしなければなりません。

どこからともなく漂ってくる匂いの元を探しては、それを片付けたり・・・

お手洗いも、洋式を和式のように使っていたらしく、全く便器の中に用をたすことができません。

徘徊も激しくなり、何度か警察のお世話になったことがありました。

まだ自分の周りに認知症や介護で悩んでいる人がいなかったため、

愚痴はこぼしても、
その現実は解消されることはなく、

本当に何度家を出たいと思ったことか・・・

周りの友人は、会社のお昼休みは、ランチ。

会社帰りは、どこか遊びに行ってから帰るとか、

ましてや、お弁当をお母さんに作ってもらっている子をみると、

羨ましいどころか、自分で作ればいいのに・・・はぁ???
なんて甘ったれなんだ!!!って思っていました。

そんなこんな20代はじめだったので、

おばあちゃんを、憎んでしまっていました。

おばあちゃんなんて、はやくいなくなればいいのに・・・

と思ったことも何度もあります。

今は、完全に介護状態・・・

完全に寝たきり・・・

すべてのお世話を、
定年退職した父がしています。

デイサービスも利用していますが、

家におばあちゃんがいるときは、
オムツのお世話や、食事、タンを取ってあげたり、

点滴中はずっとそばにいて、
手を押さえていてあげたり・・・

私は、見て見ぬふり・・・

やっぱりなんとなく匂うし、
今まで私が勝手に抱いた憎しみがどうしても消えなくて、触るのもイヤでした。


でもね、
おばあちゃんに、近づきたい、
触ってあげたい・・・
そんな気持ちもあるにはあったんです。

母を早くに亡くして、
もう親孝行なんてどうすることもできない、
触れることもできない、
会話もできない、なんにもできない・・・
という事を痛いくらいに知っているから・・・

死んでしまったら、心で想うことはできても、
触ってあげることができない!

わかっています。

でも、
どうしてもできなかったんです。


私は、人に触ってもらうことが大好きです。

人に触ることも大好きです。

特にお肌・・・

肌と肌で感じあえる、
伝わるものがあると、
私は思います。

だからこそ、美塾の講師という道を選んだのかもしれません。


それなのに、それなのに

もし、今おばあちゃんが死んでしまったら・・・

絶対に後悔する!と思いました。


私は偉そうに、

「親孝行は生きてるうちしかできないよ。今しないでいつするの?」
「死んじゃったら、何にもできないんだよ。」
「親を亡くしてる私だからこそ、みんなに言えることはそれに尽きるよ」

なんて言ってました・・・

偉そうに・・・


母親代わりのおばあちゃんに、
まだなんにもしてない私が・・・


最低だな・・・

自分で自分のことがいやになりました。


そして、母の日がきました。

私の母の命日は、その年の母の日でした。

この時期が来ると、
いつもそのときのことを思い出します。


よし!おばあちゃんにメイクをしよう!

と思ったのですが、
それもなかなか決行できない私・・・

それなら、まず、介護施設にメイクボランティアに行こう!と思ったのです。

動機はめちゃめちゃ不純・・・

自分のエゴで行くことを決めたようなものです。


ちょうど美塾の生徒さまが働いている施設に約束を取り付けたときに、

塾長から、
「メイクボランティア行きます、よかっらら一緒に行きませんか?」

の呼びかけ。

「行きます!!!」

すぐに手を挙げました。

天の助けかと思いました。


だって、施設に行く!とは自分で決めても、

どんな感じになるかも全くわからず、

しかも、おばあちゃん達をお喜ばせてあげたいと心底思っているわけではない私、

この私のエゴ的な自分を見透かされたらどうしよう・・・とか、

認知症ゆえ、触るな!とか言われて、
拒絶されたらどうしよう・・・とか、

すごく不安でした。

塾長のありがたい呼びかけに救われました。

メイクボランティア・・・
はじまりました。

最初は、もうガチガチに固まっている私。

塾長と一緒に同時にメイクすればいいのに、

塾長がメイクしているところを撮影したいので、なんて勝手な理由をつけて、

塾長がおばあちゃんとどんな会話をするのか、

触り方はどうか、

メイクの感じはどんな感じなのか、

いつもと違うのか・・・?

しっかりみさせていただいてからの、
私のスタート。

塾長はいつもとなんら変わりもなく、
いたっていつも通り。

私がこんな感情でいることも、全く知らず・・・


おばあちゃんが、目の前にきてくれました。

いきなりメイクするのは違うと思って、まずは、しっかりお肌を触らせていただきました。

あ~~~

おばあちゃんのお肌って、
こんな感じなんだな~~~

初めての感触・・・

とてもしっとりしていて、キメが細かくて、
柔らかくて、気持ちいい

たっぷり、たっぷり感じて・・・

それからメイク。

おばあちゃんだからといって、
何も変わりませんでした。

その方の素敵なところ、魅力的なところ、

いっぱいいっぱいあって、

そこを生かしただけ。

確かに、似合うお色は、
普段私がメイクさせていただくときに、
あまり使わないお色が多かったですが、

とにかく、かわいい!!!

そして、

やっぱり、女性なんです!!!

「こんなに綺麗にしてもらったら、
どっかでかけないかんわ~」

「こりゃ、キスでもせんといかんわ~~~」

なんて、おっしゃったり、

その場がとってま和みました。


私の不安なんて、どっかに飛んでいってしまっていました。


「こんなしわくちゃな顔にメイクなんてせんでいいわ!」

と言って、顔を手でかくしてしまう、
おばあちゃん。

私達が帰るときには、その、おばあちゃんが

「もう帰っちゃうの? また来てや~」

とおっしゃってくださいました。


絶対にしないと言い張っていたおばあちゃんも、ずっと気にはなっていたみたいで、

そばで、テレビを見る振りして、ずーーーーっとこちらを見守っていてくださいました。

施設のスタッフの方も、

「みなさん、メイクすると、いつもよりおしとやかなんですね~」

と笑ってみえました。


やっと、やっと、

おばあちゃんが、かわいい!と思えました。

今までは、おばあちゃんがかわいいと言っている人をみると、

そんな綺麗ごといっちゃて!なんて斜めから見ていた私。


あっという間の2時間でした。

私にとって、とってもとっても意味のあった2時間。


今朝、自分のおばあちゃんに

お化粧水をつけて、お肌をたっぷり触りました。

おばあちゃん、

笑ってくれました。

笑ってくれたんです。

おばあちゃんの笑った顔なんて、
何年ぶりに見たんだろう・・・

いつもへの地口で、難しい顔していおばあちゃん。

ちゃんと、答えてくれました。

お肌とお肌で会話

できました。

ちゃんと、おばあちゃんを感じることができました。


父にはメイクすることを、大反対されたので、できませんでしたが・・・

父はずっと一人で面倒みてきて、わしのもんになにする!!!

へんなことするな!!!

みたいな感情なだけだと思います。

毎日私がおばあちゃんのお肌に、
触れているところを見たら、

メイクさせてくれるでしょう・・・笑


私ができる、おばあちゃん孝行なんて

こんな事位しかできないけど、

生きてくれているうちに、

たくさん、

触らせてもらうからね

おばあちゃん(^^)

生きていてくれて、ありがとう。


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