間 | こさかなおみオフィシャルブログ「天使の分け前」Powered by Ameba


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 穏やかな天気の日の話。

 川沿いの抜けの良い道を

 いつものようにジョギング。



 キラキラ光る川面に漂うカモメ

 少しかすむスカイツリー

 昼近くの時間帯。



 タッタッと響くシューズの音と

 自身の呼吸音と

 温くなった風を感じて走る。



 …うん!?シューズの音?


 それが聞こえるってことは

 かなり静かってこと。


 ここで私は我に返った感覚。



 そうだ、そうだ。

 さっきから私は誰とも会って

 いなかった。


 土手のなだらかな道は

 穏やかな陽射しだけに

 照らされている。


 周囲を見回してみても

 人も犬も小鳥さえも

 見つけられない。


 まるで世界でたった一人だけ

 存在してしまったような

 物語の中を

 走っているみたいで。


 景色が穏やかであればあるほど

 少し怖く どこか 耽美。


 その時

 道を横切る黒い影。

 1mと離れていない先を

 ちょうど目線の高さで

 飛行するカラス。


 うわっ! 

 思わず足を止めた。


 瞬間・・・。

 雀の群れが木々に飛来し

 道の向こうから一人のジョガー

 遠くで聞こえる車のクラクション

 信号待ちをする親子連れ


 いつもの風景の中を走り始める。


 日常の中にはもしかすると

 小さな 「間」 が存在している。


 それは現実と空想の 「間」。


 そう思えば

 平凡さえも非凡

 普通こそが奇跡

 毎日は不思議だ。