子どもの頃の残酷なショー その後 完結 | 土曜遊ぶ・日曜焦る

子どもの頃の残酷なショー その後 完結

 もはや田舎では伝説となった男は僕の紹介したバイト(保育関係)で、汗を流していた。

 アツについてはこちらから。

 残酷なショー その後

 カリスマ性がにじみ出る男は、子どもに囲まれ、まんざらでもない顔をしつつ、働いていた。

 しかし、ジャージを子どもに引っ張られズボンはズレ落ち、大事なものもにじみ、いや、こぼれ落ちそうになっていた。

 余談だが、アツは相当デカイと思う。(僕はポークビッツ)

 心身・息子ともデカイアツは、野球経験を活かし、ドッチボールの時なども大人気だった。

 物凄い剛速球を放り投げるアツは、子ども達から尊敬の眼差しで見つめられ、どんな球もキャッチし、チームの子どもに投げさせてあげていた。子ども相手には絶対に球を投げなかった。

 僕は、子どもにも全力で投げ、逆に当てられていた。

 さすが優しき大巨人。(僕はポークなビッツ)

 そんな大巨人も持ち前のカリスマ性で上手く働いていたのだが、夏休みだけと言うバイトの契約が切れてしまい、「次はどうしよう・・・。」 と悩んでいた。

 甲子園を湧かせた男とは思えない表情だった。

 そんな時にアツを救ったのは、妹だった。次は妹がアツにバイトを紹介していた。

 田舎のカリスマはナオシ家にバイトの斡旋ばかりしてもらっていた。

 しかし、それは実家が裕福という現実に甘んじることなく、自分の力で生きようという意志を感じた。

 
 
 そして、さらにアツと会えずに幾年か経った。

 その間、アツが何をしているのか情報は入ってこず、僕は、 子どもの頃の残酷なショーを書くようになり、久しぶりに実家に帰ってみようと思い、2時間半ほどかけ、実家に帰った。

 爆竹を点火した時などを思い出しながら現場を歩いたりしていた。

 残念ながらジョン(雑種♂)はすでに死んでいたのだが、死ぬまでに2度脱走し、鶏の味を覚えてしまったジョンは、鶏小屋をさらにもう一回襲撃したそうだ。(後一回は未遂)

 それに懲りたのか、ナオシ家では二度と雑種を飼う事はなく、現在は「待て。」もできるビーグルを飼っている。

 久しぶりに実家に帰った僕は家族に喜ばれ、鯛やヒラメの舞いこそ無いが、竜宮城のようなもてなしを受けていた。

 初日の夜には鹿の肉をふんだんに使った料理がもてなされ、2日目の夜にはイノシシの鍋、ボタン鍋を食した。
 
 その料理たるや、美味いのなんのって。

 あの時の鶏の刺身も凌駕してしまいそうなほどの美味さだった。

 そして腹十二分くらいになるまで、食べてしまった僕は食後に関取も真っ青な 『くっちゃね』 の態勢に入っていた。

 その時に、母親に最近アツは何してるの?と聞いてみた。

 「あっちゃん、結婚するそうよ。」

 驚いた。アツは硬派と前々回に話したが、浮いた話がほとんどない男だった。

 そして、さらに驚いたのは結婚する女性が妹に紹介してもらった人だということだった。アツはバイトだけでなく女性も紹介してもらっていた。

 妹に探りを入れると、アツはこの数年でコンパも覚え、速球だけでなく、下ネタという変化球も覚えていたようだ。

 そこで知り合った女性と、2ヶ月という付き合いを経て結婚するというのだ。

 

早いよ!!!!

 
 思わず、爆竹を点火する時の思い切りのよいアツを思い出した。

 アツは30歳と言うキレイ系の昔、次長課長の井上さんと付き合っていたという噂の女性と結婚することとなった。

 腐っても鯛。腐ってもアツ。(腐ってないけど。)

 やはり、カリスマはゲットする女性も違う。

 そんなエピソードを土産話に自宅に帰り、記事を更新しようとパソコンをつけようとした時に、事件は起こった。

 今までに感じたことが無いような腹痛を感じる。

 もはや、腹痛と言うより、左肋骨あたりからヘソ周辺までに息を吸い込むだけで激痛が走る。

 一日、様子をみたが、治る気配は全くなく、痛みは増すばかりだった。

 痛みに耐えかね、滅多と行かない病院に早退させられてまで無理やり行かされ、診察を受けた。

 全くと言っていいほど客が入っていない病院ですぐに診察は始まり、ヨボヨボとしたその医師は淡々と僕に質問を投げかけ、一言、 「わかりません。」 と言った。

 解りません。と言ったにも関わらず医師は質問を続け、

 「何食べたの?」 と聞かれたので、

 「鹿とイノシシを食べました。」 と答えた。

 「若いのにいい物食べてるよね~。で、ウンチはでるよね?」

 「はい、でます。」

 「腸は以上無しか・・・。」

 

 「腸も痛かったら、猪・鹿・蝶だったのにね。」

 をい、このヤブ。激痛で苦しんでるのにその花札ネタはなんだ。

 花札しらなかったら、どうするつもりだったんだ。とか思っていると、「寝転んでください。」 と、言われ寝転ぶと、若い男性なんてここ数年触ってないよ。と言うような看護婦にズボンを下のお毛ヶが出るほどズリ下げられた。

 
 むしろ、もうすぐ僕のポークビッツはコンニチワしてた。
 

 「そこまで下げんでも宜しい。」

 とヤブは言い放ち、自力でヘソ下くらいまでズボンを戻し触診でも 「わかりません。」 と言われ家に帰った。

 無駄な時間、痛い腹をいじくり倒されるだけの時間だった。


 これが、ごく最近のアツ、そして連載中に合った裏エピソードである。

 

 これにて、子どもの頃の残酷なショー、その後 もおしまいです。

 長きに渡り本当にお疲れ様でした。

 そしてこれからも、しょうもない話が続きますが、贔屓目に見ていただければと思います。

 読んで下さった皆様へ。これから読んで下さる皆様へ。心からの感謝を。


 (完)

 
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