ミラー! (691)引き継ぎ | 超自己満足的自己表現

ミラー! (691)引き継ぎ

 いつも金曜日に行われている民間病院勤務。今日で、午前の診療担当から外れる。もちろん午前中の外来で僕指名で予約してくれている患者さんには悪いけれど、仕事の都合上ってことで、別の先生へ予約を取ってもらう。これでも僕は人気があるらしい。いつも、予約で一杯で、飛び込みの患者さんが入れないくらいだ。



「先生どうなさったんですか?」

「あ、本業の転属です。」

「転勤されるんですか?どちらへ?」

「ははは…ここから一番近い駐屯地へ戻りますけどね・・・。上からの命令ですので、仕方がないです。午後の心臓外来は、顔を出しますが…。」

「心臓外来か…。ほんと残念です…。」



と、どの患者さんの保護者の方々も落胆する。僕が診察すると子供たちが落ち着いているとかなんかいろいろ理由があるみたい。ほんと仕方がない…。派遣を外されるよりはましかな?



 昼休みに病院を抜け出して、今度お世話になる駐屯地へ。僕の本隊は、後方支援連隊衛生隊。そこから司令部広報室へ行くという形になる。なので、連隊長へあいさつへ行こうと思って…。あと衛生隊長ね。前もってアポイントメントを取ってあるから、門でIDを見せて、中へ入る。そして後方支援連隊の建物へ。一年前ここで働いていたんだよね。連隊長室で、連隊長、衛生隊長と昼食を摂りながら話すことになっている。厚生センターのコンビニで買ったお弁当片手に連隊長室へ入ると、他に誰かがいた。それも3等陸佐。



「遠藤君、久しぶりだね。どう?」

「まずまずですね…はい…。来週からお世話になります。あの…こちらは?」



というと連隊長は、その3佐を紹介する。



「あ、現広報室長の澤田3佐。今日は簡単な引き継ぎも兼ねてと思ってね同席してもらったんだよ。」



といって連隊長は紹介して下った。この3佐は、もともと偵察隊にいた方らしい。衛生隊でそれも医官であるこの僕が室長になるなんてと驚いていらしたけれど…。



食事をしながら、現状とこれからのことを話しあった。もちろんこの僕の配属に、不思議がっておられたのは確かな話。簡単に業務についての話を聞いて、頑張れよとエールを送ってくださった。



「ま、ここの駐屯地は、遠藤君が長い間いたところだし、のんびりやっていたらいいよ。」

「そうだよ。暇があれば衛生隊へ顔を出してくれてもかまわないよ。みんな喜ぶしね。何でも相談くらいは乗るし。」

「はい…。そうします。あ、午後の診察がありますので、これで…。」



と、時間が来てしまったので、切り上げて連隊長室を出た。そして急いで病院へ戻って、午後の診察開始。まあねえ…不安だらけだけど、医官になってから数年お世話になったところだし、何とかなるかなあと思った。何とかなるよね、きっと。