ミラー! (651)災害派遣専門衛生隊 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (651)災害派遣専門衛生隊

 所属部隊へ戻る。また当分単身赴任の一人暮らし。衛生学校で研修してきたことを僕の中隊の者たちみんなに伝え、そしていつでも派遣依頼が来ても即座に出動できるための準備を行う。



夏の異動で、国会で審議され承認された通りの即応衛生中隊が方面隊衛生隊毎に編成されて、派遣に適したメンバーが集められ、いつでもどこでも派遣命令が下ると派遣できる状態へと整えた。まずは手始めに、9月に行われる行政・警察・消防・自衛隊との合同防災演習がまあ言うデビューになるわけ。僕は中隊長だし、この演習の自衛隊衛生隊の責任者となる。はあ…ほんと今まで中途半端な中隊長だったけど、これで何と言うか…大きな責任を背負うことになるんだよね。


 話は変わるけれど、美里を起用した雑誌の企画が通り、美里の妊娠も合わせて記者会見が行われた。まだ安定期じゃないけど、順調だと聞いている。美里は嬉しそうに毎日の報告を兼ねた電話の時に話してくれた。


「今度いつ東京へ戻れそう?」


と、いつも聞いてくる。新しくできた中隊についてから、ほんと休みが取れないというか、いつ何時派遣要請が来ても動けるようにと、管轄内から出られない状態に近い。それを言いたくても言えないからつらい…言ったらきっと気落ちするんじゃないかな?いつも曖昧な返事をして電話を切る。



新婚だし、子供も大切な時期。そして大切な妻のおなかには新しい命。本当は傍にいてやりたいんだけど、大切な任務を背負った中隊にいる、そしてその中隊長。他の部下たちも我慢しているのにこの僕だけ…ってことはできないだろう。



今までみたいに当直以外完全週末休みはない。それでもなくても僕は民間病院へ週1回派遣されているしね…。


 防災演習はなんとか無事に終了し、ニュースに取り上げられたくらいだった。僕はまあ言う司令官だから、司令本部にいて医官らしいことができないことでちょっとイライラすることもあった。なんか僕がやりたいことと違うと違和感があった。でも中隊長に任じられたのだから精一杯頑張らないとと思う。でもねえ…と思っているときに、ある日総監に呼び出された。