私の中ではすごく最近のことのように鮮明に覚えている舞台が一つあります。


それが、大阪の平成中村座の試演会です。
当時、ブログはなかったので、一応感想は走り書きのようにメモをしてありましたが、それを読み返さなくても鮮明に記憶されている舞台です。



国立劇場の研修発表会以外で、一ヶ月公演の中の一日を使って、若手に勉強の場を、と設けられた試演会。


近年ではこの平成中村座だけだと思います。
最初は、幹部連が出演して、配役も、主役は幹部で、お弟子さんにも大きな役を・・・というまさに‘試み’の舞台。


そして、二度目がこの大阪での、初めてのお弟子さんたちだけの舞台でした。

夏の歌舞伎会・稚魚の会合同公演や上方歌舞伎会との違いは、本公演の最中に、本公演と同じ条件で行われる、ということ・・・


つまり、演目は、本公演と一緒。
前日にも、翌日にも、本役の方が同じ舞台をつくられる・・・
宝塚でいうところの「新人公演」とまさに全く同じ条件。



演じられる方は、もちろん真剣そのもの。
おそらく、夢がかなったような、そしてこの世界にいる以上、またとない大きなチャンスですし、やるからには精一杯やりたいという思いもあったでしょう。
そのときできる精一杯、それ以上の力を出されているように感じました。


でも、観ている側も、実は同じぐらい必死・・・


頑張れ!と応援するような、ちょっと不安な親心のような、みんながみんな出演者の知り合いというわけでもなく、わざわざ観にいくぐらい歌舞伎の好きな人で埋められた客席。
本当に真剣に舞台を作っているから、演じる側の熱意に引っ張り込まれたというのもあるでしょう。



その舞台の迫力のあったこと、素晴らしかったこと!


そして、試演会に触発された翌日の本公演の本当に本当に素晴らしかったこと!!


どちらも、記憶の中で、もしかしたら美化されてしまっているかもしれませんが、いずれにしても熱い舞台でした。




今年も、平成中村座での試演会が実施されます。

拝見することは出来ませんが、またきっと、‘熱い舞台’になるのでしょうね。


出演されるみなさんが、ベストを尽くせますように・・・