非粉砕ライン、生産ラインの考え方、プロセスの考え方。 | ”秋山なお”の美粒ブログ

”秋山なお”の美粒ブログ

音楽、ナノテク、微粒化、日々の思いをつづっています。
微粒は、美流でつくられ、美粒となります。その思いをつづっています。

 結果に対して、プロセスは、一つ決まる。それは、圧力勾配と温度勾配によって支配されたプロセスが決定することである。高圧乳化分散機系の場合、圧力と流量が一義的に決まる。しかし、プロセスは、一つではない。それを満足する解は無数にあるからである。下記のスライドを見てほしい。3本ラインと4本ラインを写真で示した。写真でみればわかるように、1本ラインから、2本ライン、3本ラインと順次、上方向に簡単に足せる構造になっている。3本ラインと4本ライン、圧力を同じ、製品出口側からでる流量をも同じにすることができる。しかし、その時、3本ラインと4本ラインとの、圧力勾配は、異なる。当然に、同じ処理物をながしても、結果が異なる。粉砕以外、100%といっていいが、4本ラインから出てくる方が結果はいい。そうならないのなら、何かが、間違っていることになる。

 

頭のいい会社のやり方と同じところで失敗する会社の分岐点

 

 結果に対して、プロセスは、一つ決まる。それが、一本ラインの結果である。それを支配するのが、圧力勾配と温度勾配である。それが、決まることで、圧力と流量が、決定することになる。その結果を製品化の目標値として求めるならば、その方法論しかない。仮に、そこで得られた流量が、目的に対して、少ないのであれば、そのラインを並列化させるしか方法がない。理想は一本ラインである。結果に対して、圧力勾配、温度勾配条件をふって、目標とする流量が得られるように、条件だしをする。それでOKなら、それでいい。それで、不十分なら、条件を変えなければならない。ノズル系分散ラインなら、ノズルとモジュールとの仕様(径と長さと組み合わせ)の変更となる。つまり、圧力勾配の変更を行う。圧力が100Mpaと上限設定したなら、条件だしの方向性は、流量を絞っていくことになる。仮に、目標としている流量の半分ぐらいのものとなれば、2本ラインにすれば、目標値の流量となる。1/4ぐらいなら、4本ラインとなる。高圧ポンプ能力は、圧力と流量の積できまる。できるだけ、ポンプ容量が大きなポンプで実験した方が賢い。基本的に、推奨される高圧ポンプ容量は、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分、前後のものが、理想的である。なぜ、その大きさなのかは、下記の理由からである。高圧ポンプの高圧シリンダーの大きさは、作業員が手で持てる大きさが上限である。何かトラブルがあった時でも、作業員で、30分以内でシール交換ができるぐらいなものでないと、作業効率が悪くなる。特殊工具や治具、または、専門家でないと、分解洗浄ができないものは、結果的に、使えない。したがって、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分の流量ぐらいが、上限となる。仮に、15L/分、流量が欲しいのなら、そのユニットを10台、並べることになる。結果的に、その方が、費用対効果がでる。

 

 

 BERYU―MINIというのは、少量で、テストする装置である。したがって、高圧領域なら流量的に、200cc/分から300cc/分が、限度である。その範囲の中で、結果が出る製品ならいいが、求める流量が1リッター/分以上なら、早い段階で、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分ぐらいの高圧ポンプ容量のもので、条件だししたほうが賢い。

 

 なぜなら、一本ライン時、100Mpa時、流量が400cc/分出るときの条件が、その会社の結果に対して、いいという場合もあるからである。一本ライン、100Mpa、流量400cc/分、これを満たす条件もいろいろある。しかし、BERYU MINIのポンプでやっている限り、1本ライン、100Mpa、流量400cc/分はだせない。もし、1本ライン、100Mpa、流量400cc/分の結果が、最良だとしたら、その解を、その会社は永遠に手繰り寄せることはできない。つまり、やってみなければわからない。やっていない中に正解が隠れていたら、やっていなのだから、永遠に正解にたどり着けない。つまり、最良の結果をつかめず、同じところで失敗する可能性があるということである。そこが、頭のいい会社と同じところでつまずく会社の差となる。私の人生の中で、それをやった会社は一社しかない。もう20年ほど前になる。それをやったために、その会社は、その分野で世界のトップ企業となった。いまでも、その分野ではトップである。

 

 

 研究開発はあくまで投資である。投資の回収は、生産して利益がでて、初めて収束する。繰り返すが、研究開発の目的は、生産ライン、高圧分散でいえば、一本ラインでの最適値を見つけることにある。それは、結果に対して、圧力が100Mpaとするならば、流量の極大値を見つけることに他ならない。支配する因子は圧力勾配と温度勾配である。最良の結果に対して、最大の流量の値を見つけることこそが、研究開発者の力量である。

 

 

 従来の手法に固執すると、最大の流量値を見つけそこなう。BERYU MINIが示されるデーターは、一つの指針でしかない。競争に打ち勝つには、100Mpa―130Mpa時1.5L/分ぐらいの高圧ポンプ容量で、最適化条件を見つけるかどうかである。それを理解できない人なら、残念だが、新しい解繊や剥離や乳化の世界には対処できない。

 

美粒が想定する高圧分散での高圧の上限は135Mpaである。

 

 

 高圧シリンダー耐圧と強度のグラフを見てほしい。基本的に、高圧ポンプのシリンダーの材料は、SUS630相当という事になっている。許容引張応力が強いからである。グラフは、内径を25.4mmにした時の、JISの高圧ガス規格に基づいて、使用圧力に対する、最低のシリンダーの外径寸法をしめしたものである。そのカーブこそ、製造メインテナンスコストの増加率としてみていい。100Mpaぐらいまでは、直線できている。青とオレンジが完全に一致している。しかし、そこから、乖離する。指数的に増加することになる。アメリカの高圧配管の中圧と高圧との境が140Mpaである。もちろん、増加率はシンダーに対する負荷だけである。当然にほかの因子も加わる。圧力が高くなり、ピストンの往復運動(陽圧と減圧とのサイクル回数)が高くなれば、それだけ、リスクはさらに高くなる。

 

 

 私は、高圧分散の実務の世界に、40年近くいる。嘗て、美粒は、200Mpa、300Mpaという装置を作ってきた。しかし、よほどの付加価値がないかぎり、うまくいかない。圧力勾配と温度勾配を制御すれば、従来、200Mpaかけていたものが、ほぼ、半分の圧力で同じものやそれ以上のものが取れる。いままでの経験則からみれば、圧力の上限は135Mpaと断定してもいい。逆に、それ以上かけなければ、できないものは、よほど、付加価値が高く独占できる市場をもっていなければ、費用対効果がないものである。したがって、

現状、美粒は、ほぼ、100Mpa、2-3パスで、結果がでるような圧力勾配、温度勾配を選択している。そうなるようなプロセスを作り上げる。従来の発想とはまるっきり異なる。圧力をあげれば、ほぼ、微細化にはいく。それと同時に装置にも負荷がかかるから、装置自

身も壊れやすくなる。圧力を150Mpa、200Mpa、250Mpaとしても、結局はうまくいかない。莫大な投資をしても、結果的に、プラントをスクラップにするだけとなる。

 

 

 人は、安易な方法へと舵を切る。回転式の撹拌機では、周速度を上げる方法、高圧分散の場合には、圧力を上げる方向である。私が市場を見ている限り、同じことの繰り返しである。分散原理が同じなら、結果は同じである。結果が同じなら、日本で作る必要はない。労働賃

金の安いところで作った方がいいということになる。日本の失われた30年がここから生じたのは言うまでもない。