2007年8月15日水曜 二葉山 ナンカナンカ(旧7月3日、辛巳)
なんかなんか、炎天下のアスファルトの道に陽炎がユラユラと昇り立つ午後二時過ぎは、頭から汗がポトリポトリと滴り落ちる。体から流れ落ちる涙。
女優の私が、この広島の地に営業に訪れるようになってから、もう数年になる。
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数年になるというのに、忙しいということを理由に、あまり広島の街を探索していない。
広島城にも行ったことがない。そして、その鬼門に位置する二葉山にも登ったことがなかった。広島駅に近づくと新幹線の中から見える二葉山。世界一のシリブカガシの自然林を有する標高139メートルの低い山。
一度は登ってみないと恥ずかしい。アスファルトが焼け付く午後二時過ぎに私は、登山口を探している。
国前寺から足尾天満宮への道を歩き、登っていく。道を間違えて引き返す。そんなことを繰り返して、二葉山山頂に到着。平和塔が銀色に輝いている。
平和塔の横に細い道がある。その山道を下る。金光稲荷神社への道だ。
二葉山のことを知ったのは、田口ランディ「磐神」(「文学界」2005年11月号所収)を読んだときだ。それまで、新幹線から見える山、そして、その上には銀色の建造物。それらの名も知らず、そしてまったく興味もなく通り過ぎていた。
《「磐神」は、こんな文章で始まっていた。
「そのイワは、はたらきのためにそこに在りました。いつからとか、どうしてとか、そういう問いのまえに在るべくして在りました。そのイワは万物の理としてそこに在りました。だれがとか、どのようにとか、そういう問いの前に在るべくしてありました。そのようなはたらきのためにそこに在りました」》(120頁)
《「東北の小高い山のイワガミ・・・か。そういえば、二葉山にそんなのがあったなあ」
「イワガミが、ですか?本当ですか?」
「俺の記憶違いかもしれないけれど、そんな話を聞いたことがあるぞ。うん、そうだ、でかい磐がある」
二葉山というのはJR
この小説では、金光稲荷神社から石段を登って奥の院に行き、そして山頂に登っている。私は、それとは逆のコースで下った。
結局、<イワ>がどれなのかよくわからなかった。
また、今度、登ってみよう。