T君を初めてレッスンしたのは彼が小学校の2年生の時・・・


そんな年齢で親や周囲に反抗して全く口もきかない状態


環境を変えるために私の担当になりました


反抗してもそこはまだ2年生


レッスンをボイコットすることはまだ出来なかった




案の定はじめてのレッスンも全く口をきかず、横を向いている・・・


でも私も無視して返事を無理強いせずに話しかけ続けました




ある日、冷房の効きすぎたレッスン室に入った私は思わず「寒い!!!」


その時、彼は自分の脱いでいた上着を私に黙って差し出してくれました


小学校2年生でそんなことできるなんて!


神経のとても繊細なやさしい子だったのです・・・


「ありがとう!やさしいね~」


それから少しずつ彼は口をきいてくれる様になりました



でもピアノの練習をしてくるでもなく、でも休まずに通っていました



中学になって不登校


時々レッスンにだけは顔を出しました


動物が好きだったので、乗馬クラブに連れて行ったりもして何とか外に


出るように誘い出しました


高校は定時制に行くことになり、昼間はバイトで一時ピアノは中断


でも卒業したらピアノが弾きたい!とまたレッスン再開しました


自分が本気で弾きたいと思ってのレッスン再開なので彼のピアノは


以前と違ってみるみる上達しました


とても繊細な感性豊かな演奏でした


でも子供の頃からの積み重ねが無いのですから、そうそう思っているように


テクニックがつきません


そういう自分自身に腹をたてて自暴自棄に・・・


それが自分の実力なのだからそういう自分を受け入れるしかない!


潔く認めなさい!と言うのですが、なかなか現実を認められない・・・



その彼が、会計士になるための専門学校に行くので(バイトをしながら)金銭的にきついので


ピアノのレッスンは当面辞めると言ってきました


男の子(もう25歳)ですし、このままではアカン!とずっと思っていたので


行動に出てくれて取りあえずちょっぴり安心です


でもそのメドがたつのは5年後位


無事に一人前になったら連絡ちょうだい!と言いましたが・・・


祈るしかできません




心配で暗~~~い気持ちでいたら、T君の事を知っている2人の生徒さんが


先週大学入試が終わり結果はまだ出ていないけれどまたピアノするで~と


会いに来てくれました


子供達の顔を見て少し気持ちが軽くなりました~