今頃周回遅れで00年代の音楽を聴いている。


トータス松本さんは1966年生まれ、私達の世代からは約10年あとだ。

 

彼の「明星」(2009年)の詞だが、槇原敬之さんの(1969年生まれ)「世界に一つだけの花」(2003年)にも通じるところはあるが、より生活を感じさせる気がするし、直接訴えかけてくる力を感じる。


槇原の「No.1にならなくてもいい/もともと特別なOnly One」という歌詞には丹羽宇一朗・元伊藤忠会長(1939年生まれ)が「会社ではNo.1になってくれないと困る」という趣旨の発言をしておられたのが可笑しくて記憶に残っている。

 

当時の60歳以上には受け入れられなかっただろう。我々の世代も丹羽さんの感覚もわからないではない。あまりに「お花畑感」が横溢している。しかし一方では21世紀にはいって「Only Oneだからそのままでいいのだ」という全面肯定感がないとやっていけない世相になっていたのだろうとも感じていた。


トータス氏にしても90年代半ばにウルフルズで売れて、カネに不自由しなくなって久しいわけで、これはプロの仕事と言うことではあろうが、生活の一面の切り取りかたが実に上手いと思う。
 

「パソコンがなんだ/検索がどうした」
2009年はWindows 7が出た年であり、その時点ですでにアナクロな感があるがこれはわざとだろう。そして「何か食べよう あったかいものを」と続く。我々はその後、東日本大震災を経て「あったかいものを食べる」ことがいかに重要かをこの後知ることになる。
 

問題は「何もかも 間違いじゃない/何もかも ムダじゃない」というリフレインだ。そう信じたい気持ちはわかる、しかし…というのが還暦オジサンの率直な感想だ。
時間を後ろ向きに見れば、確かにすべては無駄でなかったように感じられるかもしれないが、我々は確実に無駄をつくり出すし、もっと悪いのは間違いもしでかすということだ。

 

http://j-lyric.net/artist/a0036f2/l0188b8.html