紅葉色のカーディガン | 名無しの唄

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仲良くしている洋服屋で、赤色のカーディガンを買った。
少し寒くなってきた頃、財布の中身も然りだけれど、買った。
目を見張るような赤は、それでも暗くなり始める秋にそぐわないということはない。
散りながら、終わりながら、それでも目を引く落ち葉のように、まだまだ元気でいるんだぞって歌ってみているような色だ。

汗をかく程暑くはない。
風が吹けばそれなりに通すぐらいの薄手の作りだ。
嚔を誘うほど寒くもない。
シャツを通して抱かれる温度は、体の外に逃げたりはしない。
あるように、あるがままに、暖かく、肩を邪魔しないぐらいの重さで足取りを軽くする。

楽しげに外に出られたらいいと思う。
気温が下がって、夜の時間が増えたって、億劫になる理由は本当なない。
深いカットの胸の辺りに、夏におろした柄物のシャツ。
まだはしゃいでたって構わない。
忘れた頃の太陽の赤を、胸に突き抜けて声に出す。
少し落ち着いた靴で背伸びしながら、紅葉色のカーディガンで両手いっぱい広げている。

夕暮れに背を向けて帰り出すほど子供じゃない。
夕暮れに背を丸めるほど大人じゃない。
紅葉の咲く頃に、元気が色を呼び起こす。