夜明けのガーベラ
「これ!」と、ばあちゃんがぼくをコタツから引きずり出す。
「ヒデキ! コタツの光、目に悪いじゃろ!」
ぼくはゆっくりとうなずく。
お、なんだ? たまの休日くらい、休ましてくれ。
といっても、すごくしたいこともない。
今は夜空を見上げることだってしない。
ゲッ! まじ? デリヘルかよ!!
あ、向かいの部屋のドアがきしんだ音を立てる。
まずい…。
「中、入って」
ガーベラは、オレの窓辺に飾ってある、
紅いトウガラシ型のランプに注目する。
!
ガーベラ、お前はだれなんだ?!
ガーベラ、お前は何者だ?!
なんて感傷。
オレはガーベラと手をつないだままだ。
そして、いつ間にか、オレは泣いていた
闇の中で、ガーベラのコトバが手を通じて、
ぼくに伝わる。
ガーベラの手は、いつしか肉厚でまるまるとした
ばあちゃんのなつかしい感触に変わる。
ふっくらとして、包み込む手。
ぼくはその手にすがって泣いたが、
声がもれそうになって口もとを両手でおおう。
場内が明るくなった時、
ガーベラが座ってた隣の席に彼女はいない。
☆おしまい☆
katsuraさんとのコラボでできあがった “ガーベラ” は。。。
1年半以上めぐって~ 手のひらサイズの世界 『豆本』へと変化したのでした☆
『手のひらサイズのしあわせ』です。