劇団PEOPLE PURPLE(ピープルパープル)の「サヨナラの物語」を観てきた。
土曜日の14時からと日曜日の13時から。2日続けて。
余命3週間の、売れない小説家、赤川太郎。
病気の母を抱え、苦しい家計をひとりで支えている高校生の美保。
そんなふたりの前に、不思議な人物が現れる。
それは、かつてふたりがそれぞれ飼っていて、数年前に亡くした犬だった。
死が迫っている太郎を迎えに来たレンと、美保を助けるためにやって来たケン。
犬が、自分にとっていちばん大切な人のために天国からやって来るという設定が素敵だ。
犬って、そういう優しい存在、愛の塊っていう気がするから。
ケンもレンも人の姿で美保と太郎に近づいているのに、ところどころ犬っぽさが出てしまうところがおかしかった。
レンの、犬目線の道案内には笑ったなぁ。
「そこの電柱で用を足していただいて」ってやつ(笑)
ケンとレンが生きていた頃の写真が出てきたときは泣いた。
あと、太郎が楽しそうに話す、レンの思い出話とか。ケンが美保に助けてもらったときの話とか。ダメだ、涙が止まらない。
台詞の無い場面でもずいぶん泣いた。
太郎が自分の余命について妻に打ち明けるとき、「実は…」と言って客席に背を向ける。
見えるのは、太郎の言葉を聞く、奥さん役の森下さんの表情だけ。驚き、悲しみ、泣き崩れる、その一連の表情に涙した。
太郎が亡くなる。妻と子供たちが泣き、慰め合い、抱き締め合う。
妻がふと、彼の机の上に残された原稿を見つける。
もうこの先、一言も台詞が無いんですよ。
音楽が流れる中、役者の仕草と表情だけで後日談が表現される。
妻が原稿を出版社に持ち込む。やがてそれが本になる。その本が書店に山積みされる。かつて「売れてぇなぁ」とつぶやいていた太郎の本が。
本を妻と子供たちが嬉しそうに買いに来る。子供たちが手に取り、レジに差し出す父の本。
タイトルは、「サヨナラの物語」。
泣いた。
でもなんだか不思議と優しい涙。
赤川太郎役は、キャラメルボックスの菅野良一さんが客演。
ああ絶対にこの役は菅野さんじゃなくちゃ!って思える太郎だった。さすがです。
ほかの役もみんな良かったなぁ。
本当にみんな素敵だった。
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劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」
作・演出 宇田学
・大阪公演:HEP HALL 2013年12月13日~15日
・東京公演:シアターモリエール 2014年1月23日~26日
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