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南楊州市、首都圏上水源に汚水垂れ流し
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/21/2012082101115.html
(朝鮮日報日本語版 2012/08/21 12:27)
 
京畿道南楊州市が15年以上にわたり、首都圏住民2500万人の上水源となる八堂湖にトイレや台所の汚水を毎日約1万トンずつ違法に垂れ流していたことが、20日までに分かった。
 
 15年間に排水された汚水は約5500万トンに達すると見込まれる。環境部(省に相当)の関係者によると、南揚州市はこっそり下水を排水するため「秘密放流口」も作っていたという。
 
 環境部は今月2日、李錫雨(イ・ソクウ)南楊州市長を下水道法違反の容疑で検察に告発した。李市長は2006年に就任したが、違法な排水は同氏が就任するはるか前から行われていたことが明らかになった。地方自治体の首長が下水の違法な排水で告発されるのは初めてとなる。
 
 環境部や漢江流域環境庁などによると、南楊州市は1993年に建設した和道下水終末処理場第1段階施設と97年に増設した第2段階施設に、正式な放流口(縦横ともに約1メートル)とは別に秘密の放流口(縦横ともに約1.5メートル)を1カ所ずつ設け、市管内から流入した下水を付近のムクヒョン川に垂れ流していた
 
 環境部の関係者は「和道下水処理場の下水処理容量は1日4万3000トンだが、これより多い1日平均5万3000-5万6000トンの下水が入ってくるため、毎日1万トンほどの下水を秘密放流口からこっそり垂れ流すようになった」と説明した。また「北漢江の支流のムクヒョン川に捨てられた汚水は、北漢江を経て(下水処理場から約10キロ離れた)八堂湖に流入する」とし、汚水の垂れ流しは八堂湖のアオコ増殖の一因になったとの見解を示した。その上で「自治体が故意に飲料水源を汚染するという想像を絶することがなぜ長期間続いてきたのか、経緯を把握しようとしている」と語った。下水道法では、こうした行為に対し5年以下の懲役または3000万ウォン(約210万円)以下の罰金刑に処すると定めている。
 
 南楊州市の関係者はこれに対し「下水処理容量を1日1万9000トン増やすため、2010年に環境部に予算支援などを申請したが、棄却された」と話している
 
朴恩鎬(パク・ウンホ)記者
 
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
 
 
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【社説】15年以上汚水を垂れ流し続けた南楊州市
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/22/2012082201311.html
(朝鮮日報日本語版 2012/08/22 12:43)
 
京畿道南楊州市は、1993年に建設した和道下水終末処理場第1段階施設と、97年に増設した第2段階施設に、正式な放流口(縦横ともに約1メートル)とは別に秘密の放流口(縦横ともに約1.5メートル)を1カ所ずつ設け、市管内から流入した下水を付近のムクヒョン川に垂れ流し、環境部(省に相当)や漢江流域環境庁に摘発されたことが、20日までに明らかになった。河川などに下水を放流する場合、有機物(BOD)濃度は5PPM以下に処理しなければならないが、秘密の放流口を通じて垂れ流されていた下水は、汚染濃度が120-130PPMに達し、その量は1日1万トンから1万5000トンにも上っていた
 
 南楊州市が処理せずに垂れ流した下水は、北漢江を経て八堂湖に流入する。つまり首都圏に住む2500万人の住民は、トイレ、食堂、銭湯などの下水から作られた水道水をずっと飲んできたのだ。先月末からこの地域ではアオコの異常増殖が問題になっているが、被害が最も深刻なのが他でもない、南楊州市周辺の北漢江だ。
 
 南楊州市は問題の放流口について、「集中豪雨の際、下水処理場に流れ込む水の量が処理能力(1日4万3000トン)を超えた場合、あふれ出した水を放流するために設置した」と説明している。しかし和道下水終末処理場に続く南楊州市内の下水管は複数の箇所で破損し、ここから地下水などが流入するため、処理場に流れ込む水の量は天候に関係なく常に処理能力を上回っていた。つまり南楊州市は、処理されない下水が毎日1万トン以上も放流されていることを知りながら、何もせずに傍観していたのだ。
 
 政府はソウル市、仁川市、京畿道で水道料金とは別に、水道水1トン当たり170ウォン(約12円)を住民から徴収し、漢江水系管理基金を通じて八堂湖流域の七つの市や郡に年間4500億ウォン(約315億円)を支援している。南楊州市もこの制度が始まった1999年以来、総額で2390億ウォン(約167億円)もの支援金を受け取ってきた。ところが南楊州市は、首都圏の住民に「きれいな水が汚染されないようしっかりと管理する」と約束し、支援金を受け取っておきながら、実際は管内の下水を処理せず放流してきたのだ。
 
 司法当局は現在の市長と実務担当者だけでなく、問題となっている秘密の放流口について知りながらも、これを黙認してきた元市長や過去の担当者にも責任を追及し、処罰しなければならない。
 
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
 
 
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発覚後も汚水を垂れ流し続ける南楊州市
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/22/2012082201312.html
(朝鮮日報日本語版 2012/08/22 12:44)
 
京畿道南楊州市が15年以上にわたり、下水処理場の「秘密放流口」を使ってトイレや台所の汚水を首都圏住民の上水源に垂れ流していた問題で、同市はこの事実が公表された後も別の形で汚水の無断排出を続けている。南楊州市は21日、和道下水処理場の現場に取材陣が殺到すると、北漢江支流のムクヒョン川に汚水を流していた秘密放流口2カ所を閉じ、垂れ流しをやめたように見せ掛けた。
 
 だが、秘密放流口が閉じられたことで汚水は地下の下水管を逆流し、下水処理場の約500メートル上流にあるマンホールから噴水のように噴き出した。マンホールから放出された汚水は、南楊州市が今月20日まで秘密放流口を通じて無断で垂れ流していた汚水と同様、付近のムクヒョン川に流れ込んだ。この水は北漢江に流入し、約10キロ離れた首都圏住民の上水源となる八堂湖に流れ込んだ

 
 環境部(省に相当)はこれを受け、南楊州市の新規開発事業を全面的に中断させるとともに、すでに進められている開発事業に対しては事業の拡張などを認めない方針を固めた。
 
朴恩鎬(パク・ウンホ)記者
 
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
 
 
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汚水垂れ流し、モラルの低さに批判の声
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/22/2012082201317.html
(朝鮮日報日本語版 2012/08/22 12:48)
 
京畿道南楊州市が1997年から15年以上にわたり無断で汚水を垂れ流していた問題で、李錫雨(イ・ソクウ)現市長が下水道法違反の容疑で検察に告発されたことに対し、専門家たちは上水源の管理責任を負う公務員たちのモラルの低さ、職務怠慢がもたらした結果だと指摘している。
 
 南楊州市は市民が納付する下水処理料金、漢江下流に位置するソウル市や仁川市などの住民から徴収する「水利用負担金」(水道水1トン当たり170ウォン〈約12円〉を水道料とは別に徴収する制度)などで年間数十億ウォン(10億ウォン=約7000万円)から数百億ウォン(100億ウォン=約7億円)の収入があるにもかかわらず、下水処理施設を改善するどころか、処理し切れない汚水を無断で垂れ流すという違法行為を15年以上も続けていた。一方、環境部(省に相当)もこうした自治体の違法行為をきちんと管理・監督できていなかったとして、批判の声が上がっている。
 
■市長の告発に対策急ごしらえ
 
 南楊州市は21日「(無断で垂れ流していた汚水約1万トンのうち)7000トン余りを減らすなど改善措置を講じている」と発表した。李錫雨市長が検察に告発された翌日の今月3日から、下水処理施設を最大限稼働し、下水処理容量(1日4万3000トン)に比べ4000トン多い4万7000トンの汚水を毎日浄化処理しているほか、下水管が通るマンホールのふたを開け、民間の下水処理業者が1日に3000トンを抽出して処理できるようにしたという。
 
 環境部の関係者は「15年以上にわたる汚水の垂れ流しが摘発され、一時的な対処を行っているようだが、和道下水処理場に流れ込む汚水の量が処理容量を超えているため、市が排出した汚水が(首都圏住民の上水源となる)八堂湖に流れ込む状況は当面避けられない」と話している。
 
 だが専門家たちは、首都圏の住民に供給される水道水への汚染を心配する必要はないとしている。八堂湖に流れ込む水のうち、無断で排出された水が占める割合は0.1%にも満たない上、水道水を浄水処理する過程で汚水に含まれる病原菌や重金属などは十分取り除かれるとの説明だ。
 
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/22/2012082201317_2.html
■「秘密用」か「非常用」か、環境部と市が攻防
 
 南楊州市は「(無断で排出した汚水は)秘密放流口ではなく『非常放流口』から排出した。放流口の設置に関しては、1993年に環境部に設計図を送り承認を得ている」と主張している。また「非常放流口を通じた汚水の排出はほかの自治体でも行われており、環境部もこのような事実を知りながら知らないふりをしている」と言い張った
 
 これに対し、環境部は「設計図を承認したのは事実だが、非常放流口は大雨で下水処理容量を超える汚水が流入するなど、やむを得ない場合に限り使用される。ほかの自治体の下水処理場にも非常放流口が設置されているが、日常的に汚水を垂れ流していたのは南楊州市だけだ」と反論している。
 
■下水処理場を増設しなかった理由は
 
 環境部は「下水処理容量を1日1万9000トン増やすため2010年に増設を申請したが、棄却された」とする南楊州市の主張にも反論している。同部関係者は「当時行われた検討の結果、処理容量を1000トン増やす増設工事で事足りたにもかかわらず、市が無理な要求をしてきたため、再検討を命じたところ、市が自ら計画を取りやめた」と説明した。
 
 南楊州市側も、21日には増設申請が棄却されたとの主張を翻し、自ら申請を取り下げたことを認めた
。現在、再申請の準備を進めているという。環境部は市から再申請があれば、補助金などで最大限支援する方針だ。
 
朴恩鎬(パク・ウンホ)記者
 
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版