【質問】
Aさんは平成24年5月に自己の居住の用に供するため、9千700万円で新築マンション(床面積98㎡、省エネ住宅に該当)を取得し、翌月引っ越しをしました。
取得資金として父から本年1月に700万円の贈与を受け、残金9千万円は妻との収入合算により連帯債務で償還期間15年の住宅ローンを組みました。
登記費用等の諸経費は300万円であり、Aさんが全額を負担しています。
マンションの登記持分はAさんと妻の2分の1共有であり、連帯債務についての返済割合につき当事者の合意が行われています。
なお、妻との婚姻期間は5年であり、過去に父から住宅取得のために資金の贈与を受けたことはなく、Aさんと妻の年収はほぼ同額です。
このような場合において、父の拠出金につき、贈与税申告は必要でしょうか。
【回答】
■住宅取得等資金の特例
今回のAさんの件の贈与は、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法70の2)や住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税(措法70の3)の2つの特例の対象となります。
また、贈与を受けた金額が700万円ですので、将来の精算等がない住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の選択が有利となります。
■住宅取得等資金の非課税制度
住宅取得等資金の非課税制度とは、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等のための住宅取得等資金を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、その住宅取得等資金のうち、原則として、平成24年の贈与についてこの制度の適用を受ける場合には1,000万円(省エネ・耐震住宅の場合には1,500万円)までの金額について、贈与税が非課税となります。
110万円の基礎控除または2,500万円の相続時精算課税の特別控除との併用も可能です。非課税の対象となる金額は贈与税の課税価額に算入されないので、相続開始前3年以内の持戻しの対象にもなりません。
■適用条件
なお、この特例の適用を受けるためには、受贈者は次のすべての要件に該当しなければなりません。
①贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
例外として、次の(イ)(ロ)に該当する場合は対象となります。
(イ)贈与を受けた時に日本国籍を有していること。
(ロ)受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
②贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。