「橋下徹は嫌いだけど、大阪都構想には賛成の方」という維新の会のネットバナー広告。

こう言うキャッチコピーで、今回の住民投票にのぞんでいるのが維新の会の人達、橋下徹大阪市長の姿勢なんだなと思いました。

見た瞬間、素直に飲み込めなかったこのキャッチコピーにこそ、橋下徹さん、維新の会の考えや特徴が凝縮されている気がします。

先ず私達、大阪の有権者は「好き」や「嫌い」で、政治を観ていません。

「政策」で政治を観ています。

かつて橋下徹さんが「フワッとした民意」と、大阪の有権者に対して発言を行いました。

「フワッとした民意」とは、一体どういう意味なのでしょうか? 

私達、大阪の有権者がフワッとして、物事を決められない人達だと言っているのでしょうか。

私達は「フワッとした民意」ではありません。

もう一度言います。

私達は、維新の会、橋下徹大阪市長を「好き」や「嫌い」で見ていません。

首長としての実績や行動の軌跡、とるべき政策、政治家としての人間性、信頼性で観ているのです。

私達、大阪の有権者は、市長や維新の会、あなた方が唱えるやり方、「大阪都構想」という政策に反対します。

理由は、物事には『光と影』、『順序』や『格』というものがあるように、地方自治体をつかさどる制度にも『格』というものがあります。

私達の住む大阪市の『格』は、地方自治法上最高の『格』を有する各都道府県と同等の『格』を持つ、『政令指定都市』という『格』を有しています。

特に、国と大阪発展の為に必要な予算に関する陳情を直接行う事が出来る権限が現在の大阪市にはありますが、維新の会、橋下徹大阪市長が言うやり方になれば、大阪市はこの大切な『政令指定都市』に与えられている権利を放棄する事になってしまいます。大阪市が放棄するという事は、私達、大阪市民が、国との直接交渉の機会を喪失するという事を意味します。

電車に乗車するのに、税金というお金を支払って、一等席の切符を購入し、わざわざ最高の切符を持ちながら、自由席に座り込むという行為に似た、無駄な政策を看過する事は出来ません。

大阪市民には、マイナス効果の改革になる事は明らかです。

私達の考えは、プラス効果の改革には賛成しますが、マイナス効果の改悪に賛成する事は出来ません。

大阪市に住まない、大阪市民ではない、豊中市民の橋下徹大阪市長には、もしかすると大阪市民のマイナスは直接理解出来ない事なのかも知れません。

二重行政の解消に関して、無駄があるのならば、改革すれば良いと私達は考えています。

しかし、仮に大阪市を廃止しても、その代わりに特別区を5つも新たに創設するのだと、維新の会、橋下徹大阪市長は言います。

議会の事だけを考えてみても、現在、大阪市内には2つの議会が運営されています。

1つは中之島にある大阪市会、もう1つは上町台地にある大阪府議会。

大阪市を無くすという事は、大阪市会を廃止するという事になります。

しかし、それに代わって特別区の区議会が5倍の、5つも新たにつくられる事になります。また、区長は選挙で選ぶ事になります。今まで1人の首長で仕切っていた大阪市から、同じ面積、同じ人口なのに、5人の首長を新たに選び、議会も含めて5倍になることは、納税者からみると税効果で言えば以前より悪化してしまう事になる事は容易に予測がつきます。

大阪市内に2つでちゃんと賄われていた大阪の地方議会。それにも関わらず、議会を5つも新たに創設し、府議会はそのまま。面積も何も変わらないのに、同じ大阪市内に6つもの地方議会が本当に必要なのでしょうか? しかも一部事務組合がその上に乗っかる形。
二重行政の解消どころか、かえって多重行政に悩む大阪の姿が想像出来ます。

単なる東京の都区制度のカーボンコピーで大阪が良くなるはずはありません。残念ながら今回の政策には、大阪人らしい知恵も捻りも何もないとしか思えません。

地方政治が、余計に混乱する事になるだけだと思います。

これでは改革になってはいません。
改悪になってしまいます。

維新の会、橋下徹大阪市長から『フワッとした民意』などと軽く見られている私達大阪市内に住まう有権者は、いま一度、立ち止まって熟慮するべきだと思います。

私達の為にだけではなく、私達の愛する街大阪に、これから生まれ、育てていく、可愛い子供達の時代の為に。

まがい物の改革ではなく、本物の改革を成し遂げるべきだと思います。


1人の大阪市民として。
父親として。

中山泰秀