遮熱塗料 実験 「各社 性能比較」 | ナカヤマ彩工の塗装工事日記

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福岡県福岡市の塗装職人、ナカヤマ彩工が日々の塗り替え工事の記録を詳しくお伝えします。プロが読んでも勉強になる記事を目指します!

近年各社から発売されている遮熱塗料。

各メーカーのカタログを見ても、大体の場合似たり寄ったりの内容が記載されています。
まず一般的な塗料と、遮熱塗料の比較の説明。
実際の温度差がわかるような(サーモグラフィー)写真。
温度上昇の経過グラフ。

と言ったところでしょうか・・・

このようなカタログを見ると、私的にいつも思う疑問なのですが、

流れ的に
1 1つ1つの製品の特徴は理解できた。
2 同一メーカー内での塗料性能を比較した場合の結果も理解できた。(一般塗料と遮熱塗料)
3 では他社メーカーの同製品と比較した場合はどうなの?(ココが疑問)

という疑問をいつも思ってしまいます。

実際に比較しようと思っても、カタログ上のデーターのみでは中々比較することが難しく、一体どのメーカーの製品が一番性能的に優れているかがはっきり言ってわかりません。
メーカーに詳細なデーターを聞いても、
「外部に出せない」「カタログ上で判断してください」「カタログのグラフがデーターです」
と言ったなんともわかりづらい回答が帰ってくる程度です。

そのような経緯から、
「それなら実際に温度を測ってみよるか・・・」
という思いから今回の実験を行う次第となりました。

今回測定するメーカーは 7社。
温度を測定するための塗板ですが、各メーカーに温度測定の旨を伝え、作成依頼。
内1社は「そのような塗板の製作はしていません。」
との事。
しかたがないので、その1社のみ自分で作成。
他には、基本となる温度測定用の塗板も自分で作成。

基本となる温度測定用(遮熱塗料ではない、一般の塗料)は、
日本ペイント ニッペファインシリコンベスト ブラック
で作成しています。

各メーカに依頼してある塗板の色は、共にブラック。
一番遮熱の効果が難しい色での比較を行なってみたいと思います。
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まず計測を行うための専用器具です。(自作です)
測定用の塗板から電球までの距離は100mm
電球のワット数は100W
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計測器具は、AND社 AD-5617
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計測位置は電球横の位置で塗板の10mm上部。
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この条件で各社計測を行なってみたいと思います。

今回測定するメーカー(塗料名)は、

エスケー化研(クールタイトSi)
日本ペイント(サーモアイSi)
関西ペイント(アレスクールSi)
日本特殊塗料(パラサーモ)
ロックペイント(遮熱ロック)
水谷ペイント(快適サーモSi)
アステックペイント(IRグロス)

の計7社。

今回各メーカーに塗板作成依頼をしているのですが、その対応でも各メーカーの姿勢がわかります。
7社の内、1社は塗板作成依頼を受けてもらえませんでした。
残り6社の内、塗板の納入時に測定においての注意事項を伝えてきたのは1社のみ。
注意事項は、温度測定は納入後1週間以上経過した後にお願いしますとのことでした。
塗板(塗料)が万全の状態での計測をお願いしますとの事でしょう。
他の数社も同様の注意事項があっても良いと思うのですが、唯一この注意事項を伝えてきたのは、たった1社のみでした。
唯一きちんと注意事項まで伝えるメーカーのようですので、このメーカの計測結果は楽しみです。

計測時間 10分間。
1分毎に表面温度計測。

この条件の元、計測した結果は以下のようになりました。
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面白い結果が出ました。

一番高いグラフが一般的な塗料の表面温度になります。(ニッペファインシリコンベスト)
そのすぐ下にあるメーカーの遮熱塗料が位置しています。
遮熱といえば遮熱でしょうが、この程度(温度差7℃)の性能でしたらあまり効果は期待出来ませんね。
他の6社は60℃付近に集中しています。
この中でも良い結果をだしているのが、C社とD社。
C社は一般的な塗料との温度差が29.8℃
D社は温度差30.4℃
この2社の結果は優秀です。

D社の温度を基準で考えますと、

A社 62.2℃ +5℃
B社 62.6℃ +5.4℃
C社 57.8℃ +0.6℃
D社 57.2℃ ±0℃
E社 61.6℃ +4.4℃
F社 60.2℃ +3℃
E社 80.6℃ +23.4℃

という結果になりました。
ある程度の温度の誤差は、温度測定計器上あるかとは思いますが、それにしてもこのような結果が分かった事は凄い発見になりました。
カタログ上ではこのような性能の違いはわかりません。
特にC社D社の結果が良かったことにはびっくりですね。

今回の測定結果はひとまず1回目のデーターということで、次回測定方法を少し変えまして、再度行なってみたいと思います。

※電話・メールで頻繁にメーカー名の問い合わせがに加え、すでにさまざまな塗料の実証結果がネット上に存在していることから、2014/5/26をもって各メーカー名の問い合せは終了とさせていただいております。