『東京公園』 | dramatique

『東京公園』

新文芸座での最終日にやっとこさ観ることができました。

dramatique-東京公園

東京公園

監督:青山真治
出演:三浦春馬、榮倉奈々、小西真奈美、井川遥、高橋洋、染谷将太、宇梶剛士…
2011年/119分

大学生の志田光司(三浦春馬)は、幼い頃に亡くした母(井川遥)の影響でカメラマンを目指し、東京の公園を巡っては家族写真を撮っていた。ある日、いつものように公園で子連れの女性(井川遥:二役)に向けてシャッターを切っていると、突然現れた男性(高橋洋)に難癖をつけられる。ところが、後日その男性から連絡が入り…

「群像」での蓮實重彦×青山真治の対談を先に読んでしまったせいで、すでにもう観てしまったかのような錯覚を持ってしまい、まだ未見だった本作。

あまりにも大絶賛している知人がいたので、無理矢理時間を作って滅多に行かない池袋にまで足を運んだのに、無理がたたったのか、それとも何らかの事情のせいなのか…どうしてそれほどまでに感動したんかい? という感じがしないでもないような。。

いや、普通に良い映画だと思う。台詞とかを思い返してみると1つ1つ印象深いことを言っているし、表現しようとしている内容もなるほどと感心させられる。にもかかわらず、それほど迫り来るものが私には希薄だったのはなぜだろう? 主要なキャストがアイドルっぽいからか? 私のハートがすっかり錆び付いてしまったからか?w

でも、それこそが「東京公園」なのではないだろうか?と解釈してみると、案外すんなり来るのかもしれない。

そこまで計算していたとしたら、青山真治という監督はやはり凄いと思わざるを得ないのだけれど。

この作品には、幽霊やらゾンビやらがごく自然に溢れていて、その境界線が一見曖昧だし、もしかしたら現世もすべてそうなんじゃないかとも思えるけれど、一応登場人物たちにとって失った人は失われたままで、一人で生きて行く重みを背負った上で明るく振る舞っていたりする。

それと同じように映画自体も一体となって伝わって来るというより、もっと何かバラバラな感じで届く印象なのだ(例によって私のコンディションのせいかもしれないけれどね)。

苦しくても一人で生きてかなくちゃいけない日々をけなげに強くやり過ごすためにせっせと映画を観続ける榮倉奈々の姿がシネフィルに受けるのはいたく理解できる。

孤独を抱えて生きる東京公園の人たちは、すなわちイコール東京に暮らす私たちなのだろう。