皆様、お久しぶりです。還暦を迎え生まれ変わったつもりで新しいことに取り組もうと、今年から新たに塾を開講しました。

 

 名付けて「地力塾」。塾生を募集したところ12人の先生方が入塾されました。関東から四国まで、本日は10人が集まられました。初めての先生もおられ、新しい風が吹き込まれました。とても人懐っこい先生で、すぐにみんな打ち解けて、初対面とは思えない雰囲気となりました。

 

 本塾は鍼灸に真剣、患者さんに真剣に向き合っている先生方が、自分や自院の更なる向上を目指して、新しい気付きを得ようとする会です。

 

 すでに両方とも20ページ以上に及ぶ冊子「緒言と心がけ」と「ワークノート」(すべてオリジナル)を配布し、その後毎週1題の思考課題をお送りしています。

 

 朝10時から愛知以東の先生方5人が分離研修第一班で集合。1時から2時間、10人全員が共通研修を受けられ、3時からは関西以西の先生5人が残り、第二班分離研修項目を受けられました。

 

 共通研修項目は「地力塾開講の目的」。与えられるのではなく、作り出せる存在になるため、いかにして自分の中に地力を育むか、その方法論をお話ししました。

 

 分離研修は「鍼のお作法」の解説と実技演習。そしてアウトプット訓練。当院で行っている問診を実際に供覧しました。そしてこれも実際に当院のスタッフが行うアウトプット練習を、一人一人にやっていただきました。辿々しい先生から、私を超える先生までおられました。

 

 今回の塾は、過去に開催したものの発展形として、先生方の確実なレベルアップを目指していただきます。

 

 次回は9月に開催することになりました。

 

 写真は塾生の先生が送ってくださった塾開講のお祝いの花。望外の喜びです。ありがとうございました。

 

 皆様、おひさしぶりです。日々、いろいろなことがありつつも、忙しさにかまけてついぞブログは放置気味。

 

 コロナもほぼほぼ終わりましたね。昨年は本院は週に6日、分院は週に3日半のみ開けて、年間総来院数は8,037人となり、これに5月まで担当していた生殖医療施設での不妊鍼灸を加えると、1日平均30人をはるかに超える来院数となりました。コロナ前の状態に完全に戻ったようです。

 当院を勧めてくださる患者様、ご近所様、そしてありがたいことに医師の方々のおかげです。誠にありがとうございます。

 5月は、宮城県仙台市で行われる、全日本鍼灸学会でランチョンセミナーを担当することになりました。実行委員長の三瓶先生が、

 

「中村先生は、言いたいこと言うだろうから、枠にとらわれないようにランチョンで」ということになりました。

 

 東京医研と日進医療器に頼んで、お弁当などの経費分担をお願いしたところ、両社とも二つ返事で引き受けてくださいました。

 

 多分5/26(日)のお昼になると思います。その頃休診日がありますが、詳しくは院内掲示をご覧ください。またご興味のある先生は、是非とも来聴ください。私、このセミナーを転換点として、ここから全く異なる領域に入っていこうと思っています。

 

 座長は、私がお世話になった厚仁病院の松田先生が担当します。久々の再会を楽しみにしています。

 

 皆様、今年もよろしくお願いいたします。

 先週は、初のインバウンドを経験しました。お昼にたまたま1時間の空きがあったのですが、その時にいきなり2人の外国女性がやってきて

 

「Acupuncture?(鍼治療?)」

 

で、詳しい文は覚えてないけど、

 

「予約は必要ですか?」

 

「必要ですが、偶然、今なら空いています。

 ところでどちらの方が希望ですか?」

 

「2人とも。

 料金はいくらですか?」

 

で「five thousands(五千)とまで言っただけで、

 

「O.K.」と言われ、seven hundreds(七百)は打ち消されてしまいました。

 

どこが調子悪いんですか?と訊いたら、

 

ひとりは腰痛、もうひとりは肩こり。

 

で予診表(英語表記)に書いてもらって治療開始。

 

多分希望されるだろうなと思って、

 

「写メ撮りましょうか?」

 

「わお!お願いします」

 

ということで、体に鍼が刺さっているところをふたりとも写メりました。

 

鍼の経験がない、日本語全く話せない20代のアメリカ人女性2人が、飛び込みでいきなり鍼を受けにきた勇気に驚き。

 

 この日、もう一つの「初」は納豆カレーを食べたこと。これまで、気持ち悪いとしか思ってなかったが、食べてみると結構いけました。バリエーションが増えて嬉しい。

 日曜日、私中村は滋賀の分院で治療を担当しています。今日は初診で、「数日前から両耳のこもり感がひどくて、気が変になりそう」とまで言われた男性が来院されました。耳鼻科で2週間服薬後、一旦寛解しましたがその後に急激に悪化。聴力低下、めまい、その他の症状はありません。

 

 私も左耳が難聴になった時は、こもり感(閉塞感とも言われる)、耳鳴り、聴力障害、補充、自声強調など一通り経験しました。が、この男性は両耳同時発症です。すると、突発性難聴やメニエルなどとは病態が異なります。

 

 ここで意識するべきはpv=nRTという気体の状態方程式。基礎化学では頻出の公式です。両側のこもりの同時発症、耳管狭窄など状況がそろったので、気体の性質から始まり、中耳の構造、内耳の圧センサーと自律神経の連動などの説明をしたところ、「今まで耳に何が起こっているのか不安で仕方なかったが、本当にすごくよくわかった」と喜んでくださいました。文章で説明すると長いし、ややこしいので、割愛。

 

 耳の症状といえば、聴力低下、めまいがもっとも多いのですが、こういったこもり感も非常に不快なものです。

 

 でもやっぱり基礎学習ってすごく大事。基本から説明すると、患者さんに心底納得していただけます。

 

 追記、、、翌日やや寛解。2日後かなり良好とのこと。

 将棋の藤井聡太さんが八冠を達成され、すでに竜王位の防衛もされたとか。

 

 これは藤井聡太さんとタイトル戦を戦った人のお話し。当時14才にしてプロ棋士になった藤井さんに十才も年上でありながら、対戦をお願いしたらしい。当時、一流のプロ棋士が中学生に頭を下げて試合をお願いしたことについて、その方は「強くなるのに一番邪魔なものは無駄なプライドだ」と言われた。

 

 実は、私も似たような経験がある。ある同業の先生に教えを乞うた時に、その先生は私を多少なりとも知っておられたようで、

 

「中村先生が私に頭を下げられるのですか?」と言われた。

 

その疾患について、一層の改善策を知りたかったので、私は、

 

「患者さんのためなら、私は誰にでも頭を下げます」

 

と申し上げた。その方はいたく喜んでくださり、手ほどきを下さった。今から数年前のことだ。その疾患の治療が、その手ほどきによって進んだことは言うまでもない。そして私の方でも新たな手技が見つかった時には、その方にご連絡している。そうするとまたその方から示唆を下さる。

 

 そんなやり取りの後、その方は京都在住の患者さんから問い合わせがきたら、快く私にご紹介くださるようになった。そしてその方が快癒され、その方のご家族がこぞってこられたり、そういうお話もしている。

 

 プライドとは、いったい何であるか?

 

 将棋の人と同じ。

 

 患者さんの改善を邪魔するプライドなど、ただの虚栄だ。