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行政における男鹿半島”なま剥げ”考察



なまはげ館と男鹿真山伝承館を視察しました。


「男鹿のナマハゲ」として国の重要無形民俗文化財指定を受けている、秋田県男鹿半島の「なま剥げ」。


その発祥にはいくつか説がありますが、私は以下の説に説得力があると認識しています。


「日本列島に漂流してきた、異形で異なる言葉から住民と交われず、人里離れた場所にひっそりと住みついた外国人」


「この異形の者(外国人)の存在を、地域における生活慣習の維持、教育などに活用してきたのが発祥である」


「北国で冬の囲炉裏にあたっていると出来るナモミは怠惰の証。それを剥いで懲らしめる、災いをはらい祝福を与えるという意味での”ナモミ剥げ”、転じて”なま剥げ”」


大晦日に行われる「なま剥げ」の訪問を擬したのがこちらです。


戸板を叩き、踏み鳴らしながら登場するナマハゲは、視覚・聴覚的に大人でも一定の恐怖感、不安感を与えます。


ナマハゲは台帳に従って、その家の家人の一年を振り返り、問題点を指摘、アドバイスを与えます。


例えば、


「(秋田弁で)お前の家の長男は勉強しないで、ゲームばかりしている。弟の面倒もみない。家の手伝いもしない。そんな子供はこの家に必要ないからさらっていぐぞ。」


ここでその子供が改めないと、ナマハゲは本当にさらっていく素振りを見せるわけです。


この民俗行事は、実際に家々を訪問するナマハゲ要員、訪問宅の家人達の状況を把握している者達が事前に綿密な打ち合わせをすることにより、以下に掲げるように非常に効果的な行事になると考えます。


1.高齢者問題

  当該家の高齢者の状況把握。独居であるのか、家族とともに住んでいるのか?独居であれば高齢者の健康状況、精神状況、悩みなどのヒアリング。家族とともに住んでいるのならば、家族の中での高齢者の状況把握。


2.教育

・ 切り札としての「なま剥げ」の活用。親が日常的な教育を行う際の材料としての「なま剥げ」

・ 一年に1回であるにしろ、子供の悩み、心配事などを聞き取るカウンセリング効果。ナマハゲは子供に恐怖感を与えるので慎重な対応が求められるわけですが、カウンセリング効果が得られような対話は技術的に可能であると考えます。


3.地域と各家庭の連携強化

当該訪問家庭の全般状況を把握することにより、地域コミュニティーの連携力の強化推進。


4.地域の伝統、歴史、民俗行事の継続性の維持、継承。


現代においては、これらの効果に加えて、観光振興にも大いに役立っています。



秋田県内各地域に伝わる「なま剥げ」