弊社のメイン業務といえば、SPC(特別目的会社)の運営管理など、証券化を行う会社様のご支援です。

今日も、よくしてくださっているお客様が、新規の案件の相談にいらっしゃいました。非常にありがたいことです。


このお客様とは関係ありませんが、会計を取り巻く環境は、年々厳しくなっているといえます。

その一つとして、「連結」。「連結財務諸表」とは、企業集団を一体として、会計の成績を表示するものですが、連結の範囲(どの会社まで一体として表示するか)、特にSPCに関しては、その扱いが年々変わってきているというのが実情です。このSPCですが、Special Purpose Conpanyという名称からもわかるとおり、ある特別な目的のためだけに設立された会社であり、そこには従業員等事務を行う人がいません。いわゆる「空箱」です。そこで、我々会計士が役員として派遣され、そのSPCの管理の事務を行うことにより、どの会社様からも支配を受けないで、特別の目的を達成するためだけに活動をしていくという形を形成するものです。従って、スキーム上は、本来連結の議論は出てきていないものでした。


近年、某ネット企業の投資事業組合という組織の似た会社を使った粉飾事件や、某証券会社における子会社のSPCを使った不正会計事件に端を発して、SPCの連結の扱いが非常に厳しく、こういう条件ならばすぐに連結しなさいという監査法人からの指導もよく耳にしておりますが、これは「実質支配」という考え方を強く導入したことによります。実質支配の観点から、SPCのスキームを考察すると、そのSPCを動かしている「アセット・マネジメント」と言われる会社様やスポンサー企業様(オリジネーター様)の支配下ではないかということで、その各会社様の連結の議論になっています。


これは、会計士としてあまりこういう意見は述べるべきではないのかもしれませんが、個人的な考えとしては、若干、「臭いものにはフタ」的ないきすぎな指導もあるのではと思っています。明確の基準がないまま、各監査法人の指導で厳しくなっているような印象が強く、各監査法人の指導にもばらつきがあることが更に問題だと思っています。財務諸表の適正表示の観点からすれば、SPCを連結した場合、会社様やSPCの資産規模によっては、SPCを連結するのと非連結のままでいくのでは、全く違う会社になってしまい、適正な表示をむしろ逸脱する気がしています。会社様本体の資産規模は小さいが、SPCで運用資産は非常に大きい会社様などでは、特にそうなると思います。


そこで、たとえば、注記等での表示や事業報告へ一覧表を折り込む等適正に開示していれば、本体の会計報告の目的を逸脱しないのではと考えます。なぜならば、SPCが負っているローンも、あくまでノンリコースローンで、SPCがもし仮に潰れた場合にも、その引当は、SPCの保有している資産が引き当てとなり、オリジネーター様等には影響が及びませんし、そのローンは資産の評価の7割程度が上限として実行されることが多く、ローンは優先的に返済されますから毀損する恐れは非常に低く、また、匿名組合出資を活用したスキームにおいても、匿名組合員は有限責任を負っており、毀損した場合には、有限で責任を負うという建てつけとなっているためです。


いずれにしろ、証券化をされている会社様にとっても、明確な基準が早く出てくることが一番いいとも思います。資産流動化法等を活用したり、その他のスキームの検討をしていく等対処もできますし、当初OKが途中でNGでは、事業が中途で成り立たなくなるリスクがあると思うからです。