長くて深い?アライメントの話 | インソールで快適な毎日に!なかじきやのブログ

「アライメント」という単語をご存知でしょうか?

直訳すると並べるとか比較するという意味だそうです。

車が好きな方は馴染みある言葉かもしれません。アライメント調整というのがありますね。

なぜアライメント調整をするのかというと、車は色々な部品が組み合わさっているので、それぞれの部品があるべきところに収まっていないと、本来の性能が発揮できないからです。直進性が悪くなったり、タイヤが片減りしたりといった悪影響が出ます。

あとは運転時の反応や挙動を変えたいときにも調整するのですが、これはレースとかそっち方面の話。

基本的には、様々な要因であるべきところからずれてしまった部品を元に戻すのがアライメント調整と理解しています。

 

相互に影響する部品同士の位置関係を全体から見た場合をアライメントと定義します。

ちなみに個々の部品の位置だけの場合はポジションですね。

 

そんなアライメントですが人の足にもあります。

なんせ片足で26個もの骨があり(種子骨は除く)バラバラにしたら元に戻すのが大変だろうなぁってほど細かい骨がいっぱいです。

この写真は左のほうに足首から上の脛骨、腓骨(脛の骨)も映っていますが、指先なんかは細かすぎて一つの骨に見えるくらい。

歩いたり走ったり、動くときはこれらの骨が連動して動きます。

 

その骨同士つないでいるのが靭帯や腱、筋肉などの組織。この中でも筋肉は疲労しやすく、疲労した場合、動いて欲しい骨が動かなくなったり、筋肉で支えていた骨のアーチ構造が崩れたりします。

 

黄色の線が土踏まずのアーチです。

解剖学的に正常なアライメントではこのような構造になり、アーチが適度につぶれたり戻ったりして、地面からの衝撃を吸収します。衝撃吸収時の動きはこちらにも書いています。

 

アライメントが正常な場合は良いのですが、足に合わない靴を履いて長時間歩いたり、怪我やその他の要因で筋バランスが崩れると、アライメントが悪くなります。

そして、アライメントが悪くなると、車と同じように悪影響が出ます。

人の場合は膝や腰など関節が痛くなる。少し歩いただけでも疲れる。外反母趾もアライメントの悪化が関係しています。

 

こちらは非荷重での正常なアライメント。赤丸は今は無視してください。

 

一方こちらは土踏まずのアーチが崩れた状態です。

青い矢印のように足全体が内側へ倒れこむような力が加わります。

歩行時にもこのような力が加わっていて、赤丸のついた写真のように元に戻れば良いのですが、筋力不足や体重過多、その他筋バランスの崩れなどが原因で、アライメントが悪いまま固定されてしまうことがあります。

この写真の場合は外反偏平足。足が疲れやすい、足がすぐに痛くなるなど、歩くのが億劫になってしまいます。

そして、この方向への力が加わると外反母趾の原因ともなり得ます。

手のひらをふわっと机に置いて、親指側に横移動してみてください。その際手のひらは浮かないように動かすと親指が横を向き、指の付け根がくの字になりますよね。

これが足に起こり、その状態で固定されてしまうのが外反母趾です。つま先の尖った靴や普段ハイヒールを履かない人でも外反母趾になるのは、これも原因の一つです。

 

ではどうやってアライメントの悪化を防ぐか。

足を使わなければ少なくとも骨の構造は崩れませんが、歩かないのは不可能ですし、歩かないと健康も損なわれるので無理です。

となると、足の構造を支える筋肉を鍛えること、筋肉や靭帯、腱の負担を軽減する靴とインソールを使用することでアライメントの悪化を防ぐことができます。

 

ただし、インソールには注意点があります。

これは先ほど青矢印のあった写真の別角度です。

黄色の矢印の関節の間が広がっています。この矢印の踵側の骨が舟状骨、指先側を内側楔状骨といって、このあたりをアーチの頂点にしているインソールが非常に多いです。

こんな風に支えるということですね。

しかし、ここを頂点にすると、荷重時に舟状骨と、より踵側の距骨との間の距舟関節が支えられません。

極端に表すとこんな感じ。舟状骨だけが上になり、距骨が置いてけぼりになっています。

もう一つ、この写真では解り辛いのですが、距骨の下の骨(踵骨)との距骨下関節が支えられていません。

距舟関節と距骨下関節は足の安定性を保つ上でとても重要です。足首から上の荷重を分散する役割と、地面を捉えてスムーズな歩行をする初動の部分です。

 

ということは、この関節の安定性を高める構造のインソールでないと、意味が無いどころか、間違った位置のアーチサポートでは、骨のポジションを乱しアライメントを狂わせる事にもなりかねません。

なので、距骨下関節と距舟関節を安定させるためには、踵骨にある載距突起という部分をサポートするインソールでないといけません。

赤丸部分が載距突起です。ここを支えるインソールは、土踏まずの踵寄りに強いサポート感があります。

なかじきやのインソールもこの部分のサポートを重視しています。

後足部を安定させることで足のアライメントを正常に保ち、動きやすい状態を維持します。

 

足は人体の土台です。その土台のアライメントが悪くなると、足首から上の身体全体に影響があります。

また、推進力など身体で生み出された力を地面に伝えるのも足の役目です。

車では運転時の反応や挙動はサスペンションなどの足回りで決まりますが、足にも同じ役割があります。

アライメントを見直すにはまず計測。ご自分の足を観察してみませんか?