先日、英国赤十字からの招待でイギリス指定建造物Grade II*(特別に重要な建造物) のValentines Mansionをイタリア人の友人と訪問した。案内状の中に「結婚式などにも利用される建物」とあり、赤十字の活動報告などの講演もあるけれど、飲み物やランチも付いているし、この機会を逃したらこの建物に行くことはないと思われたので、面白半分で参加したところ…ほとんどの参加者の年齢は70歳以上で友人と私は思いっきり浮いてしまった。私たちの年代の人も数人居たけれど、彼らは親と一緒。実は赤十字から招待されたのは、広告で見かけた遺言サービスについて問い合わせたから。コロナ禍の最中「いつ死んでもおかしくないかも」と落ち込んだ時期があって、資料を取り寄せたのだ。でも資料によると事務弁護士を探して申請するなど手続きが面倒なので結局手付かずのまま、イギリスでは3月からコロナも収束扱いですっかり忘れてしまった。私のような人が沢山いるから、詳細説明を兼ねてこういうイベントを開くのかも。

 

 活動報告講演では英国赤十字が担う役割として、英国内では病院から帰宅する時の車や車椅子の手配、災害時の救援活動、英国外では災害時や戦時の救援活動 (ウクライナを含む) などが紹介された。医療費無料の国民保健サービス(NHS: National Health Service) がカバーしきれない範囲外の支援を赤十字のようなチャリティーが担当していることを初めて知った。かつての「揺り籠から墓場まで」の名残か。

 

 もちろん肝心のValentines Mansion & Park自体は素敵だった。ただ、私はこれまでにもオープンハウスなどで数々の邸宅を見てきたので、それらと比較するとやや個性に欠ける印象を受けた。大分前になるけれど、旧ウィリアム・モリス邸とか、Two Temple Placeなどの建物の方がずっと強烈な印象を残している。そこで歴史を調べたところ、この建物の方が遥かに古いことが判明した。建物自体1696〜97年建設で最初の所有者オリバー・クロムウェルの姪エリザベス・ティロットソンはカンタベリー大司教の未亡人。1912年までは中産階級の個人の所有だったが、1980年代90年代に放置され、ヘリテイジロタリーファンド(宝くじ資金)で2006〜9年に大規模改修したとか。それにしても、1階のほとんどの部屋が閉鎖されて見学できないのは問題だと思う。Morning Roomとか (鳥の剥製が飾ってある) Bird Roomなどとドアに名前が掲げてあるだけで中が見られなかったのは残念。友人は電話でお父さんに「そういう邸宅には幽霊 おばけくんが出るぞ」と言われて写真を撮るときもビクビクだったけれど、何も映らなくて良かった。

 

 結局イベント終了時に提出したアンケートで「遺言サービスに興味がありますか」との質問に友人は「No」と答え、私は周りを見回してちょっとまだ早いかな、と「?」を書いてしまった。イベント招待が逆効果になるとは赤十字も予想外だったろう。お土産 (写真)まで貰っておきながら申し訳ない気分。

 

 

Valentines Mansion 外観

  

階段室と廊下

 

活動報告があった大広間とその控室

お土産のペン、キーホルダー、バッグ