トリプルファイヤー 2012.06.30 @ 新宿motion


セットリスト:

1.ガンダーラ
2.次やったら殴る
3.抱きしめたい
4.富士山
5.ちゃんとしないと死ぬ
6.スキルアップ
7.エキサイティングフラッシュ
8.おばあちゃん


白地の「節電気グルーヴ」Tシャツのベース。楽器は白のギブソン・サンダーバード。メガネはメタルフレームだったかな。何とクリトリック・リス(大阪のバンドと言うかユニットです)Tシャツのドラムス、Tシャツの色は黒。無地のポケット付き黒Tシャツのギター、黒縁メガネ、赤メタリックのバインディング付きテレキャスター。ドラムスがスタッフにスティックを借りています、忘れて来ちゃったのかな?。「どれにします?」というかんじでスティックの束を示すスタッフ。
サウンドチェックでなぜか「うみのて」のナンバー「東京駅」のフレーズを弾くベース、考えてみればこの方は「うみのて」のギターテックでもある訳ですけれども。
セットリストを配るベース。

一応バンドTシャツと言うものがあるのですがメンバー誰も着ておらず、君たち商売する気があるのか!、と思っていると白のそれを着たボーカル登場。ですが折り目がはっきりと見て取れ、「いま羽織ってきました」感がありあり。おそらくそう思わせるのが狙いなのでしょう。
四人が向かい合って音合わせ。どこかで聴いた曲だなと思っていたら「smells like teenage spirits」でした。しかし歌詞は違うようです。

ニコニコというかニタニタというか、笑顔を絶やさないボーカル、へらちょんぺさんという芸人さんがいらっしゃったのを思い出させてくれたところで一曲目「ガンダーラ」、ボーカルは終始ステージを右へ左へ。ソリッドなバックにこのフロント、どこかに静けさを湛え、なぜか人を惹きつけるバンドです。赤いライトでステージ終了。

ギターのイントロから二曲目「次やったら殴る」、みずからへらへらしていると語る主人公が表に出さない怒りを次には露わにするぞと訴えますがその「次」はおそらく永遠にやってこないのでしょう。絶対来ない次?=明日を待つ主人公、決してやってこないゴドーを待つがごとくに。

ボーカル「ありがとうございます、トリプルファイヤー…ベルトが全然締まってない」、ベルトを締め直すようすに湧く観客。 ボーカルはしゃがみ込んで飲み物を自分のコップにつぎますがこれまた受けます。ボーカルの「…ロックってさ…」の一言だけでまたまた湧く観客、「なんだ!言ってみろ!笑」と観客が反応しますが答えないまま次の曲へ。

三曲目「抱きしめたい」、実現しない願望こそ美しいのだという主張をはっきりと感じさせてくれる曲。
切れ目無しに四曲目「富士山」、富士山を絶対者の象徴と見、自分が絶対的なものに無縁であることを悲しむと言うよりむしろ強く肯定する歌。「全然関係ない!」で曲終わり。
やはり切れ目無しに五曲目「ちゃんとしないと死ぬ」、ありのままの自分の肯定、決して天才ではない自分なりの自己の見極め、それと一体となった自己の肯定。失礼ながら一般的な言われようでのイケメンでは決してないこのボーカルさんですが、自分が特別な何かを持っていないことを厳しく鋭く見極め、そのような自分であるからこそ強く肯定する態度がえらく格好いいです。

MC、「…パンクロックってさ…」、とまで言ってから口ごもるボーカル、「ちゃんとしろ!笑」と観客。チューニング。

六曲目「スキルアップ」、赤いライトがヤバイ感じ。夢のむなしさ、あるいは狂気?
七曲目「エキサイティングフラッシュ」、この曲のベースラインは大好きです。成功者でない自分を見下すのではなく、成功者でないからこそ間違いなく自分なのだと確認するかのような歌詞。フラッシュとは、一瞬で成功に至るという実現し得ない夢を示す言葉なのでしょうか?

「次が最後の曲です、ありがとうございました、トリプルファイヤーでした!」、八曲目「おばあちゃん」、オレオレ詐欺(振り込め詐欺)を仕掛けたところが相手のおばあちゃんが親身になって話を聞いてくれたので思わず自分語りをしてしまったのかなというような歌詞です。

「ありがとうございました、トリプルファイヤー…」語尾がはっきり聞こえないのがボーカルさんらしい。

逆説的なかっこよさを誇るバンド、トリプルファイヤーのライブでした。