君の膵臓をたべたい 双葉社

作者 住野よる

 

あらすじ

本好きの僕が病院で偶然見つけた一冊の本。

【共病文庫】と書かれたそれはクラスメイト『山内桜良』が綴った日記だった。

膵臓の病を隠し明るく振る舞う桜良と、秘密を知った僕の物語。

 

感想~ネタバレなし~

 

表紙とタイトルのギャップに思わず手に取りました。

カニバリズム?ホラー?ではなさそうだけど……

裏返すと帯には(読後、きっとこのタイトルに涙する)の文字。

感動するのか…と、当時感動に飢えていた(?)わたくしは迷わず購入。

まだそこまで本を読むことに慣れていなかったわたくしでも、その日のうちに読み終えてしまえるほどに引き込まれ、読みやすい小説でした。(^^)

 

明るく元気で周りにはいつもたくさんのクラスメイト達がいる桜良。

いつもひとりで本ばかり読む地味で根暗そうな僕。

 

正反対の2人が、次第に自分に無いものに惹かれあっていく様と、迫ってくる桜良の終わりの時が切なくてもどかしくて、逆に途中でやめてしまおうかと思うくらいでした。(^_^;)

(ここでやめたら桜良は永遠に生きれるんじゃないか……とね)

 

それでもなんとか最後まで読み切ると、なんともいえない読後感になりました(良い意味で)。

 

 

全体的に読みやすいので小説を普段読まない人にも是非読んでほしいです。

 

 

 

 

この後はネタバレありの感想になります(^^)

 

 

 

 

最初、どうして主人公の名前が出てこないのかと不思議に思いました。

ただそういうものだと割り切りながら読み進めて、その意味が分かった時には(なるほど、そういうことか)と思いながらページを戻った記憶があります。

 

名前でいうと、主人公も桜良の名前を終始呼ばなかったのですが、それは「呼ぶ名に意味がつくのが怖い」「いずれ失う彼女を友達や恋人にするのが怖い」からだと桜良は思い、もし正解ならば墓前に梅酒を置いといてと残すシーンは、もうそれを伝える手段の無い僕に対し切ない気持ちになりました。だけど、最後に桜良の墓前に梅酒(明言はしていないが)を供えた時は自然と笑みがこぼれていました。(^^)

 

あと個人的に好きだったのが二人の絶妙な返し。

特に

「二人でトランプって何やるの」

「大富豪」

「革命に次ぐ革命で国民がいなくなるよ」

は秀逸だと思いました。

 

「君の膵臓をたべたい」幾度となく作中に登場するこの言葉は、読後この二人だけの、二人の為の相手を敬うもっとも尊い言葉になりました。

 

タイトルはこれ以外にありませんね(^^)

 

周りにおすすめしたい素晴らしい小説でした。

 

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