ティボディエ邸再建について | 神奈川県議会議員 永井まさと オフィシャルブログ

ティボディエ邸再建について



昨日総務常任委員会(予算決算常任委員会総務分科会も同日開会)が開かれ、議案の審査および請願・陳情の審査と理事者からの一般報告を受けました。

審査事項の請願6号はティボディエ邸建設に関する請願でした。

すでに市議会の全会一致で再建に尽力するよう求める請願を採択しているにもかかわらず、再度の請願が出てきました。

ティボディエは幕末から明治にかけて来日したフランス人技術者の一人で、ヴェルニーのもとで横須賀製鉄所の建設に携わりました。

東日本においては最古の木造洋風建築(木骨煉瓦造り)とされているティボディエ邸は戦後、米海軍横須賀基地内の集会所として使用されていました。しかし、老朽化のため当時の沢田市長が復元することを前提に、2003年に米軍が3,500万円の費用を負担して解体。解体された部材は現在は横須賀総合高校に保管されていますが、さらに老朽化が進んでいる状況です。

ただ、復元には2~3億円かかるため、私としては集客効果やインパクトなどを他のまちづくり計画などとの間でしっかりと位置付けることが重要であると考えてきました。

今回の請願は来年の横須賀製鉄所150周年の目玉事業としてティボディエ邸再建を急ぐためのもので、その他のまちづくりとの整合性を全く顧みない内容でしたので無所属クラブとしては反対討論をし不採択としました。

結果としては賛成多数で採択となりました。

以下反対の立場での討論を掲載します。市議会中継録画でも見ることができます。

市議会中継





以下討論。

請願6号に反対の立場から討論をいたします。

さる11月15日にヴェルニー公園にて晴天のもとヴェルニー・小栗祭が滞りなく挙行され、横須賀製鉄所鍬入れ式から150周年の記念事業が大きくスタートを切りました。

ティボディエ邸については、東日本において最古の木造洋風建築、木骨煉瓦造り建築として非常に価値の高い建造物であることなどから市議会ではティボディエ邸を再建するよう尽力することとする請願を全会一致で採択しました。

また、本市においては他の旧軍港市に比べて本格的な資料館を持たないことから軍港資料館を作る市民の会の意向を反映する形で市議会で(仮称)軍港資料館等検討委員会が立ち上がり、議論が進められています。

さらに、6月の富岡市の富岡製糸場の世界遺産登録をうけて、当市議会では富岡市との友好を進める議員の会が立ち上がり、富岡製糸場への視察も行いました。

 横須賀製鉄所が一つのキーワードとなり、様々な動きが進む中にあっては個々の計画がバラバラに進行することなく、大きな一つの流れの中で一つひとつの計画を位置づけていかなければ有機的で効果的なまちづくりは実現できません。

特にティボディエ邸はティボディエの知名度がないことに加え、その大きさも小さく、市税から億単位の支出を考えると、単体で建設を先行することは、その後の計画の可能性を狭め、まちづくりの大きな潜在的チャンスを逸してしまうことにつながります。

横須賀製鉄所に関連した軍港資料館に向けての大きな計画の中にティボディエ邸を位置付けるならば、その有用性が全体の中で有意義に見出せると思いますが、軍港資料館に関してその内容も予算規模も場所も何も決まっていない現時点においてティボディエ邸を先行建設することは非現実的であると確信します。

以上の理由から請願は不採択とします。