テーマは
『皮膚糸状菌症』です
いわゆる“カビ”です
本院では最近よく目にする病気なので解説させていただきます
では早速ですが見ていただきましょう
こんなのです
なんか気持ち悪いですね~
皮膚の表面はこんな感じになります
■皮膚糸状菌とは?
教科書から引用すると・・・
皮膚及び皮膚付属器の角化した組織に侵入・生息する白色・透明な糸状菌とあります。
なんだか難しいですね~
要は、皮膚とか皮膚の近くにある毛なんかに生息するカビです。
っで、皮膚糸状菌症とはそんなカビによって引き起こされる皮膚病のことをいいます。
ワンちゃんとニャンちゃんでの感染で多いのはMicrosporum canisです
皮膚糸状菌の種類は全部英語です・・・
なので、そんなのがいるんだぁ~っ程度に聞いといて下さい
ニャンちゃんでは、ほとんどMicrosporum canisの感染です
ワンちゃんにはその他に、Microsporum gypseum、Trichophyton mentagrophytesが感染します
■どうやって感染するの?
一般的には、感染し発症している子や発症はしていないけど糸状菌を持っている子から感染します
接触することで感染します
また、土壌・家の中・小屋・用具などが汚染されていれば、そこから感染することもあると考えられています
野良ネコちゃんの間で保菌しているこがいるみたいですね
感染しやすい子は、
特に
・若い子
・多頭飼育下にいる子
・他に病気を持っている子
(免疫が下がっている子)
・薬剤(免疫抑制剤など)を使用している子
・多頭飼育下にいる子
・他に病気を持っている子
(免疫が下がっている子)
・薬剤(免疫抑制剤など)を使用している子
です
■どんな症状?
感染後1~4週間で症状が出てきます
毛が束になって抜けたり、虫食い状にボツボツ脱毛します
中にはドーナツ状に皮膚が赤くなり広がる場合もあります
良く見られる部位は、頭や手足が多いようです
本院では耳にできる子も多いです
痒みは全くないものから少し痒がるものまで様々です
また、似たような症状を示す他の皮膚病もあるので
見た目だけで判断してはダメです
■検査法は?
①症状をお伺いします
先ほど述べたような症状があるか確認します
また、いつからその症状があるのか?生活環境はどんな感じか?などもお伺いします
ただ、それだけでは判断しません
②顕微鏡検査(直接)
一番大事なのは顕微鏡で直接見つけることです
見つけることが出来ないことも多々あります
ですので
念入りにチェックします
このような胞子が観察されることがあります
③ウッド灯検査
波長360nmの紫外線を照射し、検査します
Microsporum canisを検出することができます(50%の株で蛍光を発する)
その他の皮膚糸状菌は検出できません
残念ながら本院にはこの機器がありません
④培養検査
顕微鏡検査の補助検査として使用します
また、原因糸状菌の同定に使用します
要するにMicrosporum canisなのか?Microsporum gypseumなのか?
っていうのを調べます
■どうやって治療するの?
①塗り薬(外用薬)
こんなのを使用します
塗り薬だけでは効果が不十分な場合もあります
その時は他の治療法を追加します
②洗浄(シャンプー療法)
・ミコナゾール含有シャンプー
・クロルヘキシジンシャンプー
などを使用します
③飲み薬(内服薬)
抗真菌薬を使用します
時折、副作用を示す子がいますので、注意が必要です
根治するまでに長期間(数週間~数カ月)かかることがあります
高価な薬なので、気になることがあればご質問ください
■注意するところは?
①治療の反応
先も述べたように、治療に長期間要したり、完治後も再発したりする子がいます
また、皮膚病全般に言えることですが、すぐ効果が認められないこともあります
気長にかかりつけ獣医さんと一緒に話し合いながら、治療していくことが重要です
②拡散・蔓延防止
治療中、感染している子が生活の場を汚染していくことが多いです
他の子に感染することで皮膚糸状菌症が蔓延しては困ります
ですので、手洗いなどの消毒、生活空間・器具などの消毒がとても重要です
・感染している子を触った場合は、コマ目に手洗いをしましょう
・感染している子に触れた器具は、コマ目に消毒洗浄しましょう
使いまわさないこと
・感染している子に使用する器具はその子専用にする
・部屋の掃除や洗浄は徹底的に行う
・塩素系消毒薬を使用する
・感染している子に触れた器具は、コマ目に消毒洗浄しましょう
使いまわさないこと
・感染している子に使用する器具はその子専用にする
・部屋の掃除や洗浄は徹底的に行う
・塩素系消毒薬を使用する
③基礎疾患はないか?
無治療でも10~12週間で自然治癒するとも言われています
ただ、治療の効果が乏しく、治療しているにも関わらず皮膚の状態が悪化するようであれば
基礎疾患を疑わなければなりません
要するに他に病気が隠れてないか調べなければなりません
その場合は詳しい精密検査が必要です
だいたいの検査から治療の流れはわかりましたか??
■ではここで例を出してみたいと思います
【症例1】
ニャンちゃんです
耳が脱毛し、こんな感じになります
培養するとこんなのが生えます
【症例2】
ワンちゃんです
ボツボツあちこちに同じような脱毛が見られました
あまり痒みはなかったです
病変のあるところにセロハンテープをペタペタしてみると
こんなのが見えてきましたー
胞子ですね~
【症例3】
ニャンちゃんです
耳とあごの下などに病変が認められました
痒みはさほどありません
目の下なんかも良く認められます
培養するとこんな感じ
顕微鏡でこんなのが観察できます
治療1週間でこんな感じになりました
しかし、完全に完治するまでには2カ月弱かかりました
【症例4】
ワンちゃんです
体のあちこちに脱毛が認められます
痒みは強いです
培養するとこんな感じになりました
顕微鏡でみるとTrichophyton mentagrophytesがいるのが確認されました
【症例5】
ニャンちゃんです まだ小さいです
耳の毛が少し束になって浮いています
こういう病変はとても怪しいです
培養すると・・・
顕微鏡では・・・
皮膚糸状菌ですね
現在は毛も生えてきて
経過は良好です
以上になります
『皮膚糸状菌症』というものが
どういうものか
わかりましたか
治療の目的は
皮膚病を治すためだけではないです
その他の動物・人への拡散、蔓延防止するのも
治療の目的です
そのため
先ほども述べましたが
自然治癒する子もいると言われていますが
薬を使って治療することが大前提となります
ただ
治療には時間を要したり
結果が伴わないことも多々あります
最低でも1カ月治療が必要とも言われています
途中であきらめたり、民間療法に切り替えたりせず
信じて着いてきて下さい
わからないことがあれば、かかりつけ獣医さんに聞きましょう
ご質問もジャンジャン受け付けております
気になることがある方はご連絡ください
コメント欄にご質問くださっても結構です
おしまい
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