既に優勝は決まってしまったのであるが、現状のベレーザとINACの差はどれほどあるのか、注目の対決だった。

結果はスコアレスドロー。しかし、この記事にあるように、内容的にはINACの完敗だった。

シュート数は20対3。セカンドボールをほぼ全てベレーザに拾われてしまい、引いて守るので精一杯という印象だった。INACが勝てない原因として「気持ちで負けている」とチーム関係者は言う。しかし、気持ち以前にチームとして機能していないように思える。そうであれば、いくら勝ちたい気持ちがあっても勝てるはずがない。

また、澤はチーム不振の原因を一方的に若手に押し付けているように見える。マスコミを通じてチームの内情を批判するのは最悪である。それを指摘したところでチームの状態が上向くはずもない。そもそも、INACの若手が伸び悩んでいるのは、選手だけではなくフロントや監督・コーチの責任でもある。また、ベテラン選手は若手を叱咤するだけでなく、プレーしやすい雰囲気づくりを積極的に進めていく責任もあるはずである。

この辺りが、ベレーザ・岩清水とは決定的に異なる。ベレーザの若手選手で中堅・ベテランに気兼ねしてプレーしにくいと感じる者は一人もいないはずである。岩清水だけでなく、阪口、有吉なども「若手が伸び伸びとプレーしやすいように心がけた」と言っている。もちろん、内心、不満に思うこともあったろうが、彼女らがプレスに対して不満を述べたことなど一回もないはずだ。

一方、INACは監督だけでなく、澤、大野、近賀、川澄などが「若手が、若手が」と口をそろえて批判する。しかも、本人に直接ぶつけるのではなく、その不満をメディアに対して口外する。これでは若手は萎縮するだけで、本来持っているポテンシャルなど十分に発揮できるはずもない。

この試合、HTや試合終了後にベレーザの選手たちが割合、晴れやかな表情を見せていたのに対し、INACの選手たちは終始、苦々しい表情をしていた。この表情の差が、現在の両チームの差なのかなと思った。

選手個人に目を移すと、川澄に少し復活の兆しが見えつつあるように見えた。アメリカから帰ってきてから、何がおかしくなったのか、自慢のスピードと体力が明らかに衰えて見えた。しかし、昨日は近賀と共にスピードに乗ったプレーを随所に見せてくれた。が、やはり、全盛期に比べると、かなりプレーの質に陰りが見える。

その他は大体ダメである。この試合、両チームを通じて際立ってよかったのはベレーザの清水だが、INACの両サイドバックは清水の半分も動けていない。正直、ボールの扱い方もベレーザの長谷川、田中美南などの若手の方がうまい。

その意味でも、INACは、このまま行くと凋落の一途をたどるだけであり、大改革が必要な時期に来ているだろう。