先日、失語症の患者さんの1周忌にお線香をあげに行ってきました。
失語症のAさん(70代、男性)に4年半程、訓練をさせていただきましたが訓練開始したのは発症から17年も経過して
からのことでした。ずっと言語聴覚士を探していたようですが、訪問の言語聴覚士ってまだまだ足りていない状況です。
今まで病院の急性期で働いていた私にとって、発症から17年も経った超慢性期に訓練効果があるのか疑問でしたが
予想以上に効果はありました。ただ、訓練での復唱は正確にできるようになっても、自分から話すことはやはり決まっ
たパターンのことが多かったです。
50代、働き盛りで脳梗塞で倒れ、一命は取りとめたものの、失語症になってからの21年間というのはどういうものだっ
たのだろう・・・と思います。
言いたいことをぐっと溜めてるとストレスたまりますよね。
ヨガのレッスンで魚のポーズの時、「言いたいことをぐっと喉で溜めてる人、喉を開いて、胸を開いて、心を開いて」なん
て声をかけます。
でも、失語症の人は言いたいことが頭に浮かんでも言葉にできない・・・身振り手振りやいろんな手段で伝わることもあ
りますが伝わらないことの方が多い・・・
医療が進歩し、昔だったら命を落としてしまっていたところを、言葉を失いながら・・・歩けなくなりながら・・・手が使えなく
なりながらも生きていかねばならない・・・
私は失語症の方とお話するのが好きです。私が質問して、選択肢を与えて、それを指さしてもらう・・・そんな方法でたく
さんのことを伝えてくれた患者さんを思いだします。
それから、21年間、在宅で介護をされた奥様には本当に頭が下がります。
自分のためではなく常に誰かのために生きている奥様からはいろんなことを教えていただきました。
言語訓練が終わると即、ビールを飲んでいたAさん、今は好きなだけビール飲んでますか(*^▽^*)?