NHKの少年ドラマシリーズの一編「星の牧場」と「ユタとふしぎな仲間たち」である。「ユタ~」は1974年、「星~」は1981年の作品である。同番組は1972年の「タイムトラベラー」(時をかける少女)から1982年の「だから青春泣き虫甲子園」まで続いた。ここでも「つぶやき岩の秘密」を紹介した事がある。

 「星の~」「ユタと~」の双方とも“異界と現世”(来世と現世でもいい)を表現していて、文学で言えば「猫町」や「河童」。映画で言えば「マタンゴ」みたいなもんだ。ほかにもいろいろあると思うけど無教養なので例を挙げるならこんなもんくらいしかない。

 この2つのDVDを買った。ヤマギワソフトで安く売っていたのだ。こういうことがあるからヤマギワソフトは大好きだ。

 当時(70年代)のNHKでは少年ドラマばかりでなく女性のヌードも出てくる「江戸川乱歩シリーズ:明智小五郎?」「つげ義春漫画のドラマ化」とか国営放送にしては凄く面白いドラマを放映していた時代であった。

 2作品ともに地方でロケを行った不思議な作品だ。「ユタとふしぎな仲間たち」は岩手県で、「星の牧場」は栃木県の日光周辺でロケしたものだという。

 2作品ともに幻想的ないい作品であるのだ。これは保存版であろうな。しかし......残念ながら2作品ともに「画質」に問題がある。これはなんだな...NHK自体に作品のフィルムが保存されていないのだろうな。素人の愛好者がたまたま保存していたVTRをDVD化したって感じの製品である。

 さて、中身である。「ユタ~」の方は有名な作品であるからとってもいいのだが、座敷わらしを演じる佐藤蛾次郎とかその他の劇団あがりっぽい役者さんたちが汚くって閉口である。それをリアルタイムでの放映は1974年5月6日~5月8日の3日間。わたくし湯島は19歳の金玉(睾丸:紅顔)の大学生美少年であった。大学生であったからして、この作品は見ていないのである。大人だもん。

 内容は都会から田舎に転向してきた少年が、田舎の同級生たちに「ひ弱な都会っこ」といじめられながらも、突如現れた(この子が呼び出した様なものなのだが)座敷わらしたち(彼らは不幸にも間引きなどで亡くなった子供たちが妖怪化?したもの)に励まされながら、徐々に成長していく物語である。プログレッシブなカメラワークが実相寺っぽくてよい。

 そしてもう一方の「星の牧場」は、さらに凄くよい。千住明(現作曲家)、真理子(現ヴァイオリニスト)の兄妹の演技は、いかにも素人っぽいのだが...妹の千住真理子の「ぽわーん」とした演技がよい。兄貴の明はカメラばかり見てしまっておまけに生来の脇役役者みたいな面構えが残念無念である。

 内容は、田舎の牧場に突然、記憶喪失のモミイチ(ポルノ映画などに出演した福田勝洋)が現れ、牧場の千住兄弟らだけでなく村人は優しく接してあげる。モミイチは牧場で働くが、働くうちに鍛冶仕事に通じていた事がわかる。モミイチは村の鍛冶屋となる。そんなある日、鍛冶仕事のために炭が必要となって山奥の炭焼き小屋に籠ることになる。山に迷ってしまうので「炭焼き小屋そばの川を渡ってはいけない」と言われるが、失われた記憶の断片に通じるあるできごとによって川を渡ってしまう。

 道に迷ったモミイチは、山奥でひとりのジプシーに出会う。一度は現世に戻るが、モミイチは再びジプシーの山に入った。山奥では他のジプシーたちに出会う。彼らは不思議な事に千住兄弟ら村人たちにそっくり(同じ役者なのよ)。ジプシーたちもまたモミイチを親切にして失われた記憶をつないであげようとする。ジプシーたちは楽器の演奏家たちで、満月の夜にコンサートを開催するから一緒に演奏しようと提案する。そして...。

 2作品ともにその後のNHK再放送番組「NHKアーカイブ」での関係者インタビューが収録されている。「ユタ~」には司会の市川森一(ブースカ)に石井めぐみ(当時は人気があった)が、「ユタ~」演出の佐藤和哉が答える(1989年)。「星の~」には千住兄弟が答えるという内容になっている(2001年)。成長した千住兄弟の姿が進化していなくてなかなかよろしい。特に千住真理子は「ある意味綺麗」で、育ちの良さが感じられてかなりよろしい。

 あとは、上原ゆかり演じる「霧の湖」のDVDが欲しい。少年ドラマシリーズは全部で99作品あるようだ。みな欲しいよ!!!