日韓合意は、国際的ルールに従って行われたこととして世界各国が見ていますから、日本側はその信義に従って行動してきました。
しかし、韓国側は世論や政情不安からその履行についてはついに完徹させることが出来ず、慰安婦の少女像は今も日本大使館前等に設置されたままになっている。そこで、日本側は一旦駐韓大使を帰国させる措置を取ったわけだ。
ところが、そういう措置が出来たり外交上の駆け引きをやっている猶予がなくなってしまった情勢になりつつある。。。
北朝鮮がミサイルを立て続けに発射させ、それに対してとうとうアメリカが「テロ国家指定」し、有事が差し迫りつつある情勢へと緊迫化してしまったのである。
これに対して日本は、4日付で一旦駐韓大使を韓国へと帰任させる措置を取った。
これが何を意味することか?
それは、諜報機関が弱い日本としては独自に朝鮮半島情勢を把握することが困難であることと、もう1つは在韓邦人4万を有事に備えて保護できる態勢を整えねばならない火急の事態に発展する可能性を憂慮したからではないだろうか?
この在韓邦人保護の件については、日本のマスメディアは産経新聞以外、見事にスルーしています。
テレビに至っては菅官房長官のその見解を言及した部分だけをカットして放送する報道もあったという始末。
まったく日本のマスメディアというのはヒドイもの。一体、どこのために存在しているのか?
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一方、一連のここまでの流れを見て、日本の右翼系言論は?
①「慰安婦像の撤去もなしに、また韓国に折れるのか?」
②「またアメリカの言いなりなのか?」
③「在韓の保護より、在韓企業の撤退と韓国への渡航禁止措置が先だ!」
などの意見が散見される。
しかし、私はそれらはすべて「イデオロギーに拘りすぎた現実離れした考え方」だと思っている。
昨今の有事を鑑みて「履行とは別に大使は一旦帰任させ有事に備えようではないか」という、日本側のポーズとしては成功だと思うのです。
といいますのは、昨日5日夜の段階で韓国側は帰任した駐韓大使との面会を拒絶したということ……
これでもし、本当に最悪有事に発展した場合「こちらからの要請に韓国側は答えなかった」という前提ができたことになるわけで、次に有事へと発展に向かう段階になったら、韓国側からお願いせねばならぬことになりましょう?
まず、①について。
そもそも韓国政府がなぜ日韓合意に応じられないか? を考えるべきです。
それは政府が世論を抑えられるかどうかの統治力の問題で、やはりあちら側の問題なのです。
今、朴槿恵政権が崩壊し政情不安なんだからこそ、やすやすと日本側の大使と会えば、やはり国情混乱のモトなので、日本側はこのくらいは予想の範囲だろうと思います。
そして、そんな政情不安の韓国で、もし本当に有事が発生したら日本は本当に困ったことになる。だからこそ、まずは国民の生命財産を守る観点を重視した措置だったと言える。
寧ろ、韓国側が日本の大使との面会を拒絶出来るという余裕が少し残されているだけ緊迫感が差し迫っていないとすれば、それはそれで良いことだとも思います。日本は次の展開を睨んでやることをやっていればそれで良い。
ポイントは、日韓合意の履行問題とは別にして今回の有事に備えることで、日本側は日韓合意の件について折れたわけではないし、また折れてもいけないということ。そこは絶対に守るべきで、駐韓大使もそのことはよく理解しているはずです。
②については、
国民の理解が得られていない現状から、憲法改正への道はまだ半ばまで進んでいるのか? どうかという情勢で、アメリカを敵に回せるわけがない。これは、在日米軍が撤退したら全ての国防は自弁となり、防衛費はたちまち5倍は覚悟ですから、そこへの理解が国民から得られるかどうかも含め、日米同盟は引き続き強固にしておかねはならないのは当然のこと。
日米同盟から離れてしまったとしたら、それはそれで支那や南北朝鮮半島、そしてロシアも含め、全方位を敵に回しかねない。それこそ先の大戦がそういう情勢に陥ってしまった反省のない無責任な考え方。そこに至った経緯には、やはり共産圏からの工作員の暗躍によって陥れられた過去があるわけで、安倍総理の「戦後70年談話」には凄惨な過去への反省があり、イデオロギーによる政治の暴走は許されないとお考えのことでしょう。
そもそも憲法改正なっていないからこそ、外交上の敗北が積み重なってきたわけで、そこから脱却するにはそんなに簡単なことではないのです。
③については
在韓企業の撤退や韓国への渡航禁止措置とは、それは駐韓大使帰任と全て合わせたら、それこそ韓国との断行という話に発展しかねないわけです。
もし断行に発展すると、防共ラインは一気に38度線から対馬海峡へと南下してしまい、憲法改正も出来ていない日本のすぐ目の前に共産圏が迫ってくるという危険に曝されることになりかねません。
まずは、在韓邦人4万の保護が先決としたことは、韓国に「日米同盟へ組みしろ!」というメッセージ性が込められいるようにも思えます。
「拉致問題を解決させろ!」と言いながら、韓国へも嫌韓で敵視して在韓邦人を見殺しにしかねない選択を強要することは、あまりに視点が狭窄していて乱暴ではないのかと思います。
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様々俯瞰して見極めながら、日本は、安倍政権は政権運営をしていかねばならない、今は非常に緊迫した情勢と言えましょう。
そんな時に、特定秘密の範囲に当たるような国家機密として情勢分析をしながらやっている、安倍政権の一手一手にいちいち反応して政権批判をする右翼系言論とは一体なんなんでしょうか?
そもそも拉致問題は、朝日新聞が捏造した記事から発展して、そこに北朝鮮が目をつけ、日韓を離反させるために利用してきた問題に発展して今に至っています。
その北朝鮮からの出先機関とも言える朝鮮総連をも支持母体にしてきた旧民主党勢力や日本サヨクからも、こんな火急な情勢にあって国会運営をさまたげる森友問題などで足を引っ張られながら、一方ではイデオロギーの点で根っこは一致しているかもしれない右側の言論からも突き上げられ、この微妙な時期の政権運営をしている安倍総理には本当に頭が下がる思いです。
そんな機微を察せず、言いたい放題言えるという言論の自由とは素晴らしい反面、短絡的で無責任な立場からの様々な言論にはウンザリします。
そして、安倍政権叩きは、そのまま北朝鮮に利することになり、そしてそれは憎っくき日本サヨクに利することになる。
サヨクを罵倒しながらサヨクや北朝鮮に加担していることになってやしませんか?
森友問題でもう少し学習しなければダメですよ。
少し冷静に事態を見極め、各々が有事に備え、もし非常事態宣言でも出たらとうするか? そういう身近なことを話し合っておく方が余程有益に思えます。
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ことここに至って見極めるべきは、もし韓国側が日米同盟側の呼び掛けに応じないということになれば、いよいよ韓国は北側に併呑され無きものにされてしまう末路となってしまいかねない。
ということは、北朝鮮諸共に韓国は始末の対象国家となる。
つまりは、韓国も「テロ国家」として見なければならなくなる……
もっと言えば、日本も国会を早くすすめて「テロ等準備罪」を成立させないと、アメリカから北朝鮮が「テロ国家」と指定された情勢から考えて、国内に朝鮮総連などという組織の存在を許してしまっている現状から、いよいよ「二次制裁対象国」として問題視されかねない。
この辺りの機微まで考えながら、安倍総理は慎重に政権運営をされていることでしょう。
だから、いちいち政権の打つ一手一手に即反応して、「ほれ、韓国側は大使と会うことを断ったではないか!」と言うのは時期尚早なのですよ。