真夜中の犬散歩 | 喫茶柊

真夜中の犬散歩

最近はだいぶ、夜は過ごしやすくなった。


特に夜明け前は涼しい、といえるくらい。



仮眠にやや失敗し、ぼーーーとした脳としゃっきりしない視界。


3時20分。

1時間40分ほど早く目覚めたが、すでに犬たちは元気だ。


ご飯の時間こそほぼ一定だが、散歩の時間は1~2時間ずれる。

完全に決めてしまわないほうがいい、とのことだが、


そもそも、サラリーマンではないので、毎日同じ時間にはしにくい。


なので、散歩の時間だと吼えることはなく、人が動いている、


「お散歩か?」


となっている。


特に朝の散歩時間はランダム。


とりあえず一日3回は外に出ているので、多少ずれても平気なのだ。


とはいえ、夏至付近ならともかく、9月にもなると、3時台は暗い。



まあ、このボーーーーーーっとした頭では仕事にもならないので、


まだ真夜中色の街に犬たちと繰り出した。


日曜から月曜にかけての深夜ということもあって、本当に誰もいない。

ひと気もない。

車にも一台も遭わなかった。


「まるで俺たちしかいないみたいだな」


と、昔読んだマンガの世界を思い出してみたりする。


人類が急にいなくなった世界の話しがあったのだ。


とはいえ、犬たちは元気に走っている。


途中、缶コーヒーを飲む。


静かな街に、自販機から落ちてくる缶コーヒーの音がうるさい。


20~30分もするとだいぶ頭もさえてきて、


「普通の仕事してたら、こういう時間の街は見れないよな」


と、恵まれてるんだか、結果ロケハンになってるんで貧乏性なのかわからなくなったが、思った。



私は、比較的、電線や電柱が好きだ。


今の生活を支えてくれている血管のようなものだからだ。


しかし、マンションが視界に入ったり、電線の交差で、空は細かく切り取られている。


電灯は夜道を安全にする代わりに星の輝きを見えにくくしている。


家から数分の多摩川に遠回りしてから向かう。


土手の手前の緩やかさからきつくなる坂道。


犬に軽く指示を出す。

左に併走していた犬たちが一気に前に出る。

自転車が急加速する。


普通は一気に上るのも辛い坂だが、私はこがずに坂を上る。

犬ぞりならぬ犬チャリだ。


自転車を必死にこぐ人には見れない。


歩いている人には体感できない。


そんな速さで上っていってはじめて見れるパノラマ。


電線もマンションもない多摩川への入口。


空と地上の星々が動いて、迫って見える風景。


朝であればたまに富士山が見え、

夕方であれば、黄金の雲とオレンジの空が見える。



犬たちと暮らして来なければ、知りえなかった世界の見え方。



いい時間を過ごした。





油断ならない!創業以来の辛口!


左がミラ(娘)、右がチャチャ(母)