東電の第三者委員会と称するところからの報告書が公表された。これに対する以下の私の見解をマスコミに送った。

  東電の第三者検証委員会の報告について

                    2016年6月16日 
                    衆議院議員 菅 直人

 東電のメルトダウンの公表が遅れた問題について、東電の第三者検証委員会と称するところから報告書が出された。その中で、清水社長が官邸側から「炉心溶融」を認めることについて慎重な対応を取るようにという要請を受けていたという趣旨の記述がある。この点について当時の首相としての見解を述べる。

第一に、当時首相であった私自身が東電や保安院に「メルトダウン」あるいは「炉心溶融」という表現を使わないように指示したことは一度もない。

第二に、報告書には「官邸側」とあるが、当時官邸には政治家、官僚に加え、東電関係者もいた。「官邸側」とは政治家か、官僚か、東電関係者か、具体的に誰なのかを明らかすべきだ。この件で第三者委員会と称するところから私への問い合わせは一切なかった。3月12日の海水注入を「官邸」が中止を指示したと当時報道されたが、中止を指示したのは官邸に居た東電の武黒フェローであったことが今では明らかになっている。「官邸側」ではどういう立場の人かわからない。
 
 第三に今回の第三者検証委員会と称する委員会は、東電が依頼した弁護士等で構成されており、舛添都知事の調査と同じで、第三者とは言えない。東電から独立した検証委員会ではない。清水社長は政府事故調でも証言しているが、その内容は本人が拒否しているため公開されていない。まず東電は東電関係者の政府事故調の全ての証言と、当時のテレビ会議の記録を全て公開するべきだ。そのことが、事故の検証にとって最も必要なことだ。

                              以上