福島第一原発1号機のデブリの再臨界が議論になっている。今年5月17日の放送のNHKスペシャルをもう一度見てみたが、東電の廃炉責任者がデブリを取り出す時に再臨界を回避しなければならないと語っている。また、2014年12月26日の特定原子力施設監視評価検討会の議事録にも「再臨界はあり得ないと言い切れるんでしょうか」という専門家の一人からの発言がある。


  実は2011年3月12日の18時ごろからの関係者の協議の時、私が斑目原子力委員長に1号機の「再臨界」の可能性について聞いたことがある。それはメルトダウンした核燃料、つまりデブリが圧力容器の底を突き抜けて格納容器の底に落ちてたまった時に、形状によっては再臨界を起こす可能性があると、外部の専門家から聞いていたから、質問したのだ。斑目委員長は「可能性はゼロではない」と答えた。


  この質問をした3月12日の18時ごろには1号機はメルトスルーし、デブリが格納容器の底に落ちて貯まっていたことが、その後の検証で分かっている。この時の私の質問の重大な意味を当時のマスコミは残念ながら理解できず、突拍子なことを質問したように報じたが、実は危険な状態であったことが改めてはっきりしてきた。