日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき

心理カウンセラー衛藤信之があなたに届けるメッセージ。



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 私の人生なんて意味がない。自分が死んでも誰も困らない。そんなことを思って死を選ぶ人がいます。本当に存在に意味がない人がいるのでしょうか?


 この世界は人の存在の内に存在している。これを「世界内存在」と呼びます。

 この文章を打っているキーボードも、タブレット型のモニターも、内部の基盤にホコリが入っていないかと工場内で検査する人がいます。水道を開いた時に勢いよく水が出ることも、水道管に破損はないかを調べている施設担当者の努力があります。歩いている駅のコンコースがゴミだらけにならないのは、清掃員の努力が隠れています。着ている服のボタンが、ボタンホールにスムーズに入るのも製品をチェックする誰かの生活がそこにあるからです。

 僕たちは誰かの存在なしでは、ほんの一時も存在することはできません。

 若い頃に「俺は一人で生きているんだよ!」とツッパってみても、誰かのお世話なしには、人は生きてはいけないのです。ツッパったところで、補導されても、家の誰かが迎えに来てくれるのです。家人でなくても、友人の誰かが迎えに来るのです。そして、誰かの家の屋根の下で眠れることを期待しています。


 ですから人は「縁」という、つがなりなしでは生きられません。また、この縁は人間関係だけではありません。


 いつも浴びている陽の光でさえ、地球に到達するのに100万年かかっています。


 太陽の内部核から、太陽の外側に飛び出すのに100万年かかります。そして、太陽の外側から宇宙へ出発した光の粒子は8分かけて地球に到達します。僕たちが見ている太陽の光は100万年と➕(プラス)8分の歴史を乗り越えた光の粒子なのです。


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 100万年前と言えばアフリカで人類の祖先がようやく登場した頃です。その頃に生まれた光を僕たちは浴びているのです。


 この地球上のすべての動物や植物、海のプランクトンにいたるまで、その太陽の光のエネルギーが必要なのです。その天からの光の恵も太陽の奥深くで100万年前に今日のために作られた贈り物です。


 また、僕たちが住んでいる銀河は、地球から見ると星が集まった光の川に見えます。それを天の川と呼びます。そして、僕たちの銀河系の大きさは端から端まで10万光年です。これもまた10万年前の星の発した光を僕たちは七夕に眺めているのです。


 10万年前と言えば、アフリカから人類の祖先ホモサピエンスが中東やヨーロッパに広がった頃の宇宙の姿を、私たちは見ています。七夕の夜に仰ぐ光は、10万年の昔に、星々の発した光なのです。宇宙を見上げた時、僕たちは深い歴史の重なりを同時に見ているのです。


 そして、あなたの存在には、両親である父親・母親の2人の親が存在し、その両親には、さらに2人ずつ計4人の祖父母がいます。その4人の祖父母には、それぞれの両親がいるのですから8人の曾祖父母がいます。その上の両親は16人、その人たちにも両親がおり、その数は32人。その次の6代前は64人となり、10代前では1024人になります。15代前は3万2768人になり、そして20代前まで過去をさかのぼると、それぞれの両親の数は104万8576人にまでになります。


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 「自分の番(いのちのバトン)」


 父と母で二人

 父と母の両親で四人
 そのまた両親で八人
 こうして数えてゆくと


 十代前で、千二十四人
 二十代前では…?

 過去無量の
 いのちのバトンを
 受けついで
 いま、ここに
 自分の番を生きている


 それがあなたのいのちです
 それがわたしのいのちです


 作: 相田みつを



 そうなのです。あなたの先祖の一人が、人生を悲観してどこかの世代で命を断てば、あなたはこの世には存在しえなかっただろうし、もし、現代に生きている誰かが「わたしなんて…」と言って、自分で命を断てば、20代先の未来の命が104万8576人分、一瞬にして失われることになります。それは恐ろしい大量殺りくです。

 その未来の105万弱の人たちの中には、星の天文学者になる人、偉大なスポーツ選手になる人、誰かのように臆病でも、それでも一生懸命に生きて、幸せな家庭を守っているかもしれないのです。その小さな幸せも、今を生きる誰かの一瞬の判断ミスで、すべての未来のドラマが0(ゼロ)になってしまうのです。


 ですから、今は死にたいほど辛くても、しがみついてでも生きようとする、あなたの「今日」が、多くのステキな物語たちを救えるのです。


 両親のドラマには、たくさんの人々のつながりが存在していたことでしょう。二人をとりもった人々。二人がデートした喫茶店でコーヒーを運んだウエイトレス。映画の切符を販売した売り子。そして、美しいと思った道ばたの花ですら、100万年の光が必要でした。


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 誰かの存在には、多くの人々の偶然が関わり合って、命のバトンがあなたに渡されたのです。


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 このように、誰かのために、たとえ自分に子どもがいなくても、あなたの存在がなくてはならないのです。


 あなたの存在は絶対必要です。


 呼吸するのがツラく、何もかもが意味がないと思えても、一休みしてもいいし、泣いてもいいから… 自分に渡された命のバトンを、決して自分で捨ててはいけない!


 どんなことをしても、来たるべきSTORYのために生きてくれ!













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