「Nのために」第2話①放火事件の謎…許されない罪の共有 | Warehouse of memory

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主にドラマや映画の記録

音楽を聴くだけで映像が蘇ったり
似た景色を見ると台詞が浮かんできたり

No drama, No my life.


※冒頭にある前話の内容は、割愛させて頂いています。



―2014年―
▽喫茶店
  「あの場に居合わせた四人が、誰のために、何を隠したんか。
   そんなことを知りたくて私は、あなたに会いに来ました。」
  「・・・あんた、この女がいなきゃ、この世には何の意味もないと、感じたことはある?


  ――「たすけて・・・。」――


西崎さんに会いに来た高野さん

  俺はある。俺は、俺の大事な女を殺したやつを殺した。ある意味復讐だ。
  やったことに悔いはない。逃げも隠れもしないさ。
  奈央子のことだけを想って、刑を受けようと思った。
  事件は終わったんだよ。俺も罪を償った。今さら穿り返したところで何の得もないぜ。

  定年後の趣味ならもっと楽しいことやんなよ。


  「だけど西崎さん、
  「俺も暇じゃないんでね。
   この10年で、何が1番変わった?
  「ほうですねぇ・・・人の心が寂しくなりました。」
  「そんなの・・・もともと淋しいものだよ。
   コーヒーごちそうさん。



▽オフィス
  「おはようございます。」
  おはようございます。


希美@オフィス


   ある日突然、事件という名の深い穴の中に落ちる人間がいる
   夢や希望は絶たれ、それまでとはまるで違う人生を歩むようになる
   この二人もそうに 違いなかった



――2000年――
▽さざなみ
  おらんわ。
  「どこ行ったん母さん。なんでおらんのじゃ」
  買い物行ったんやない?
  「こんな朝っぱらからどこも開いてないわ。」
  携帯に電話してみた?
  「したけど出んのよ!」


さざなみ


  「ほうで。あ、じゃあ無事なんですね?
   あとで、周平さんと慎司くんにも連絡してあげてくださいよ。
   二人とも心配しとるけん。はーい。どーも。

   大丈夫や。奥さん、ちゃんと実家に戻っとったけん。」


  「ちゃんとって何ぞ!おい!えー?、なんで勝手に実家に戻ったんぞ!えー?!」
  また喧嘩したん?
  「うるさいなぁ!今から連れ戻しに行ってくる!」
  「少しそっとしとき。あとで迎えに行ってやりや。」
  そのうち戻ってくるんやない?
  「戻ってきたって家にいれんぞ!ったく。何だ畜生。」 
  「戻ってほしいんかほしくないんか、どっちなんぞ。

   しょっちゅう喧嘩しよんか?」

  
家出したんは初めてや。

青景島駐在所

  「さざなみ、売ることに決めたんやってなぁ。
  「もっと早く、あの店に見切りつけとったら、
   父さんも母さんもここまで揉めんのにって俺は思うけど。

  「そう簡単にはいかんよ。何代も続いた店やもんなぁ。」

  「食中毒出て営業停止とか、店が火事出すとかすれば、
   父さんももっと前に諦めついたんかなぁ。

  「そんなこと言うもんやないよ。」
  「うん・・・。

  「慎司くん、朝ご飯食べていかん?」
  いい。パン買ってく。
 
  「・・・はぁー、大丈夫か?」


▽新聞屋
  「今月もお疲れさん。お母さんにバレてない?」
  大丈夫です。あの人、放っとくとお昼まで寝てますから。
  「昼まで?!ははは。羨ましいのぅ。」

▽学校
  「相談されてた無利子の奨学金やけどなぁ、
   世帯収入が八百万以上やと、応募できんぞ、これ。」
  え?
  「お前ん家超えとるやな。」
  でも、両親別居中ですよ。
  「んでも、杉下養っとるのお父さんやろ?親の援助なしじゃ
  毎朝新聞配達して、お金貯めてます。卒業までにはもっと貯めます。
  とにかく、親には頼りたくないんです。



▽図書館
  「奨学金、どう?
  申し込もうと思っとんたんが、やばいかも。でもまぁ、何とかなるよ。成瀬くんは?
  「うちはまぁ、何とか。春までに親がまとまった金用意してやる、とか言っとって。
  やっぱり売っちゃうんや、さざなみ。
  うん。
  あたしね、さざなみには結構思い出があるんよ。
  
たまに、家族で来とったよなぁ杉下。
  「島でお祝いっていえばさざなみやし、
   あたしみたいに思い出持っとる人、いっぱいおると思うよ。

  「親父もようそんなこと言いよった。店を守ることは、人の思い出を守ることやって。
  「成瀬くんは、お店継ぎたかったんよね。
  「しょうがないよ。
   俺急に進路変更余儀なくされて、正直何になったらいいか分からんけん。
   うちの学校ろくな資料ないやろ。東京の大学行くなんてやつ、ほとんどおらんしな。

  「行っても関西やもんね。


図書館

  本土の・・・本屋行こうと思うんやけど。
  「え?
  「資料とか、参考書とか探しに。・・・奨学金のこととかも調べられ
  「一緒に行く!


▽フェリー
  島出るの久しぶりや!
  「買い物とかに来んの?
  「最近そういうの、すっかり忘れとった。

▽本土の本屋
  ありがとう。
  
  「これだけ奨学金制度があったら、どれかは受かるよね。
   親に頼らんでも何とかなるかも。
   成瀬くんは?何か見つかった?

  「見つけなきゃなー。
  「成瀬くんなら何にだってなれるよ。
  「杉下頑張っとるし、俺も頑張らんと。
  「あ・・・。お母さん・・・!
  「何?
  「何でもない。
  「・・・どっか行く?
  「え?
  「もう、帰らんといかん?
  「全然。どこ行こっか?
   ・・・帰りのフェリー代もあるし。

  「それに、腹へってない?
  「へった!


▽食堂
  俺好きなのイカ天。
  「じゃあなんでかき揚げ取ったん?
  「食ってみて。ここの旨いけん。
  「うん!ほんとやぁ。美味しい!
  「前から思っとったけど、旨そうに食うよねぇ。
  「褒めてないよね!?
  「褒めとるよー!褒めとるよ!





▽フェリー乗り場
 やっぱり水平線見えんね。
  「うーん。
  「どこまで行けば見えるんかなー。
  「杉下は、東京行ったらずっと東京で暮らすん?
  「どうやろー?今は、島を出ることしか考えてない。
  「親、何て言いよるん?
  「・・・親が何て言っても、あたしは、もっと上に行ってみたい。
   そっから何が見えるか見てみたいんよ。


本土

  「野望かぁ。
  「新しい野望、思いついた?
  「ん?
  「犬を飼うとか、歯を大切にするー、とかでええけん。
  「じゃあ、死んだ婆ちゃんが言いよったんやけど、
  「何なに?
  「結婚した相手より、あとに死ね。
   一日でも多く、相手の傍におって見守れって。
   ・・・はは、野望やないかこんなの。

  「・・・。
  「・・・。

成瀬が杉下の手に触れようとするも、杉下が話し始めてしまい敢え無く断念。
  ううん。リストに足しとこ。
   結婚した相手より、あとに死ぬ。
   成瀬くんもあたしも、いつか、誰かと結婚するんかなぁ。
   大人になったらどうなっとるんやろ。
   今より楽しいとええな。
   成瀬くんもあたしも、
   幸せやったらええなぁ。


本土2



▽希美宅
  「ただいま。遅くなってごめん。
  「希美ちゃん?」
  お母さん?・・・何これ・・・。
  「お買いものしたんやけど。」
  どうやって買ったん?!
  「あんね、怒らんで聞いてね、あのー・・・お店の人が、カード作ってええって言ってくれて、
   で、あのー・・・、カードでお買いものしてええって
  カードは?!
  「怒らんで。
  カードはどこ?!
  「・・・希美ちゃん!
   ママそれ大事なんよー、ねぇ、それがあれば元のママに戻れるんよー、やめて。
   ・・・ごめんなさい。戻れんって分かっとる。戻りたいんよ。あのお家に、戻りたいんよ・・・」
  ・・・。

▽店

  「申し訳ございません。
   こちらの商品は一度、開封されておりますんで返品の方はお受け致しかねます。」

  ・・・。


▽杉下宅
  「クレジットカード?」
  お金が払えません。
  「何買うたんぞ?」
  服とか・・・。
  「お前が家に来るんは、金が欲しいときだけやのぅ。」
  「誰の服?お母さん? はい。」
  「あいつは、金稼いだことがないけん、金の有難みが分からんのよ。俺が出してやると思うか?思わんやろ。お前もああいうふうになるなよ? そういや希美、お前大学に行きたいっちゅうらしいのぅ。学校から電話があって、お父さんが力になってくださいって。何しに大学なんか行くんぞ?」
  建築に関わる勉強して、お父さんの仕事を手伝いたいです。
  「俺のこと、心の底から軽蔑しとるくせに何かその言いぐさは。お前、家を出る金が欲しいだけやろ。目的のためやったら平気で嘘をつく人間になってきたのぅ。俺そうゆう図太い人間嫌いやない。あの由妃がそうよ。あいつ、金目当てで俺と一緒になっとると思うとるやろ。島の連中もみんな思うとる。でも由妃は気にせん。あいつのぅ、東京に三軒、大阪に四軒、店持っとるんよ。バーだのクラブだのネイルサロンだの。どの店も黒字よ。俺がおらんでも、一人で生きていける女なんよ。こいつが大学出とると思うか?中卒よ。」
  「ね、もうその辺にしたら? 大丈夫なの?お母さん。島の人が噂してたよ。青景山の一軒家から毎晩鳴き声がするって。お母さん、泣いてるんじゃないの?」
  全部あんたたちのせいやないか・・・。
  「何?」
  何でもありません。


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  ・・・たすけて・・・


  「希美ちゃん!」

  ・・・誰か・・・助けて・・・


▽学校

  江戸時代、日本は諸外国との外交、貿易を制限した、対外政策を行った。ところが…


  成瀬くん・・・
  ・・・たすけて・・・



学校

  「さっきの、なん?シャーペン4回、あれ、どういう意味?
  「・・・何でもない。
  「・・・。




  ねえ、クイズ4文字。何か言って?
  「4文字? やらせろ!」
  「ちょっと何言うの」
  じゃなくて、女が言う感じで。
  「ありえへんわ。」
  「だいすき?」
  「き、ふざけんな、気持ち悪い。」
  「なんで?」
  「さむいわー。」
  「わー、もう。」
  ・・・。



▽希美宅
  あ・・・。びっくりした。
  「希美ちゃーん、大学に行くん? 希美ちゃんまで出ていったらママどうすればええの?
   ママを捨てんで。ママから離れんで。お願いやママから離れんで。」 
  戻って。お願いやけん。
  「ママは家に帰る。」
  そういうのもういい。
  「あそこ、ママのお家やの。」
  お母さん。もうあそこには帰れないの。
  「帰りたい。あの家に帰りたい。帰りたい・・・帰る」 
  お母さん、うちに帰ろう?


   あの家がなくなったら お母さんは泣くんをやめて笑ってくれるん?

   家がなくなったら 諦めがついて 少しは前向きになってくれるん?



  無くなれ・・・。


   無くなれ・・・
   やったら無くなれ・・・
   あんな家・・・



鉢合わせ

  「おおー、ごめんごめん。はー。 なん?そんな慌てて。」
  ・・・。
  「希美ちゃん!」



  

②に続く―――――
第2話後半 「Nのために」第2話②放火事件の謎…許されない罪の共有


   
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