ディス/コネクト | 混濁

混濁

あまり役に立たない感じの映画の感想

DISCONNECT
2012, アメリカ / 監督 ヘンリー=アレックス・ルビン
リッチの息子はソーシャルネットワークを通じて攻撃され、自殺しようとするも一命を取り留めたが意識不明の状態になってしまう。弁護士として仕事に忙殺される彼は家族との関係もおざなりにしていたため、息子の自殺の原因がまったくわからず困惑していた。一方、元刑事の厳格な父親と二人暮らしをする加害者の少年は愛情に飢えており……。(yahoo!映画)

インターネットなしでは生活するのが難しくなっている現代に起こり得る、私たちの知らなかった、知っているけど知らないふりをしたかった、身近にある問題たちが様々な登場人物によって描かれます。

AWOLNATIONのsailで始まり、jonsiのTornadeで終わる作品な時点で素晴らしくないわけがないのですが、私が期待していた以上に出来の良い作品で、かなり余韻の残る映画でした。

メールやLINE、twitterやface bookとか、今やいくらでも誰とでも時間も場所も関係なく容易に繋がれるようになってしまって、人と繋がっているっていうのは便利だけどすごく不便なことでもあって。



映画の核となっているのがジョナ・ボボ演じるベン・ボイド。
facebookで知り合った女の子、ジェシカによって彼の人生は大きく変わることになります。
彼のしたこと、そしてそれゆえに彼が選んだ行動は、全く彼自身に非がないとはいえないけれど、それでもその不条理さには憤りを覚えますよね。

周りの誰にも自分の事を分かってもらえないって状況で、女の子からメッセージが来たら舞い上がっちゃうよ、そりゃあ。海外のセレブとかがよくハッキングされたりして、自分で撮ったそういう写真流失してますけど、海外だとそういうの結構撮っちゃうのかなー。

父の秘密とかもそういうやつだったし、リベンジポルノなんて言葉もあるみたいだし。
日本でも例外ではないですが、やっぱりそういう写真はどれだけお互い好きあってても撮るもんじゃないですね。しかも一度ネットに流れてしまったら完全に消し去ることは出来ないわけで。
それはそういう写真に限らずなんですけどね。

彼が作っていた曲がいろんなアレンジで流れるんですけど、普通にキレイないい曲で。
公式サイトに"劇中でベンが作り出すオリジナルの旋律はボボ自身が作曲した。"って書いてあってびっくりしました。すごいなあ。才能豊かですね。



ベンの父親を演じているジェイソン・ベイトマンは、コメディ映画で観ることが多かったし、そのイメージが強かったので今回の役柄が意外?というか。でもすっごい良かったですね。
病院に来たジェイソンを引き留めるシーンの、なんとしてでも彼から話を聞きたいっていう強い意志が目に凄く込められているのとか見て、それだけでもう、彼がどれだけベンのことを愛していたのかが伝わってきてぐっときました。

妻と娘に、そんなこと(ジェシカの正体を探る)したってどうしようもないでしょ!って言われても、それでも止めなかった彼の気持ちはよくわかるなあ。
自分の息子が首吊ってる以上、その理由を知りたくなるよね。彼が目を覚ますのをただ祈ってそばで見守ってるだけだなんてもどかしくて仕方がないだろう。

お姉ちゃんのエピソードもリアルでしたね。ほんとうにああいう空虚な繋がりってありますよね。とりあえず一緒に居るだけの存在。でもそれにしてもあの友達はクズすぎる。姉、気づけて良かったですよ!あんな子と一緒に居ても本当に時間の無駄でしかない!



ジェイソン役のコリン・フォードくんは好きな俳優さんなのですが、今回も良かったです!
こういうワルガキいるよなー。一番最初のイタズラはもうイタズラっていうか犯罪なんじゃないの?って思ったけど。これ本編とは関係ないんですけど、ジェイソンとつるんでいる男の子が歯の矯正してて、しかも抜歯もしてて、ちょうど私も今同じような状況なのでうわー仲間だーってちょっと嬉しくなってしまいました。矯正始めて以来、映画の中とかでもなんでも矯正しているのみると親近感湧いてしまう。

話がそれてしまいましたけれども、ジェイソン親子もお互い思い合ってはいるのに上手く伝わってなくって。とにかくこの映画に出てくる家族はみんな、お互い大切に思っているのにそれに気づけていなくてもどかしいんですよ!つながっていないんですよ!ディスコネクト!!あーもどかしい!!笑



元軍人のハルのエピソード。彼のように情報抜かれちゃってお金使われちゃうのが一番怖いですね。でも今こうやってインターネットに繋いでパソコンやってる私にも確実に起こり得ることで。ベンくんのようなことに関しては自分でいくらか気をつけられるけど、これに関しては気をつけていてもなかなか、相手が巧妙なので難しいですよね。

彼に関しては、元軍人だったり、終盤の暴走っぷりとか見ていて、タクシー・ドライバーのトラヴィスを思い出してしまいました。トラヴィスと違って、ハルには奥さんもいるし、希望の兆しが見える終わりだったのが救いかな。

アレキサンダー・スカルスガルドは本当にお父さん似でいいですね。
ステラン好きとしてはだいぶたまらんかったです。笑
メイジーのときとはまた違った魅力を醸し出しておりました。



自分でもどうよこの長さってなってきたのでここからは駆け足で!
美少年・美少女コレクターのマーク・ジェイコブス(右/演技初挑戦みたいですけどよかったです)のもとで飼われていたカイル役マックスくん(いろいろと語弊がある文章)の、若くて無根拠な自身があって俺最強!な感じがもうたまらんかったです。可愛い。この映画のなかではなんとも、な終わり方でしたが、それでも彼の今後は、ニーナにあったことで、少しは変わったんじゃないでしょうか。そうであってほしい。

あんまり色々書いちゃうとネタバレになっちゃいそうで難しいんですが、ニーナの気持ちも分かるけど、やっぱり彼女のしていたことって結局カイルが言ってた通りなんじゃないかな、って思ってたので途中からちょっとイライラしてました。まあマスコミなんてそんなもんですよ…。とかわかったようなこと言ってしまいましたけどね。ほんとに。ねえ、もう。もどかしい!この映画ほんともどかしい!




そしてちょい役で出演すると聞いていた私の好きなモデルのコールくん、チョイ役なら絶対見逃さないように気を張ってなきゃ!とか思ったらいきなりド頭に出てきてあっさり退場…と思いきやその後もちょいちょい出てくるのでうれしかったです。笑
にじみ出るイケメンオーラが隠しきれていないのですぐわかりましたよ…!!w


まあそんなわけで、正直かなり心にガツンときますし、観終ったあとに友達と一緒だったのに結構無言になってしまったぐらい余韻が強い作品なので気軽にオススメ出来るものではないんですが、今のインターネット社会を生きる私たちにとっては見ておいて損のない一本だと思います。
これからの人間関係の在り方とかを考えさせられるというか。

最初に貼ったもの以外の音楽も良かったですし、2時間でここまで濃い人間ドラマを見られるなんてやっぱり映画っていいなあと思いました。特に終盤の一番の盛り上がりのシーンは本当に素晴らしくて。そのシーンで私の大嫌いな映画クラッシュ(2004)を思い出してしまったのが本当にムカつくぐらい笑(たぶんオムニバス映画だったから思い出したのかなあ、あの映画に関しては記憶を消してしまっているのであまり思い出せないや)