メイジーの瞳 | 混濁

混濁

あまり役に立たない感じの映画の感想

WHAT MAISIE KNEW
2012, アメリカ / 監督 スコット・マクギー 、デヴィッド・シーゲル
母スザンナと父ビールが離婚し、共同親権を持つ両親の家を行き来することになった6歳の少女メイジー。ロックスターであるスザンナは、再婚相手の青年リンカーンに子育てを押し付けていた。メイジーは優しいリンカーンと心を通わせ始めるが、スザンナはそんな状況にいらついてしまい……。(yahoo!映画)

この映画好きすぎて、シッカリ感想書こうと思ったら書かずに随分と時間が経ってしまいました…笑

元々感想は自分があの映画どんなんだったけ?って思い出したいときに思い出せるように書いているのが主な理由なので、こういう好き!何回も見直したい!って作品は残しておかなくても勝手に記憶に蓄積されていくだろうって感じなので書いても書かなくてもって感じなんですが、やっぱり観た映画を記録として残しておきたい気持ちもあるので今更ながら感想を書いてみようと思います。長ったらしい前置き終わり。

とにかくもうこの映画を構成しているすべての要素が心地よくて、いつまでも観ていたい!と思って。

まあこの作品、ほとんど両親の自分勝手さにメイジーが振り回される、って展開なので、観ていて少し辛くもある。可哀相でもある。でも、同時に愛もたくさん存在していて。両親は確かに自分勝手だけど、メイジーちゃんの事を愛してるし、メイジーちゃんもそんな彼らの事を愛している。そしてベビーシッターのマーゴと、母親の再婚相手リンカーンも、同じくらい彼女を愛している。もちろん、メイジーも彼らを愛している。

メイジーちゃんは振り回されても殆ど文句も言わなくて、むしろ周りの大人を気遣っていてとてもけなげなんですよね。正直大人だって自分の"居場所"、いわゆる心が落ち着ける場所であったり、自分はここに所属しているんだって思える場所が必要なのに、彼女にとっての"居場所"はいつも不安定。

「おうちに帰りたい…」と彼女が思わずこぼすシーンは、彼女の気持ちを思うと胸が張り裂けそうなほどでした。彼女のおうちはいったいどこなんでしょう?本当に彼女が落ち着ける場所は?あんな小さい体の中に、抱えきれないくらいの気持ちがぎゅうぎゅう詰めになっているのではと思うと、届かないと分かっていながらも思わず手を差し伸べたくなる。



そんな私に代わってメイジーに手を伸べてくれるのが笑、ベビーシッターのマーゴと、母親の再婚相手のリンカーン。彼らの無償の愛とも呼ぶべき愛こそが、私がこの映画をずっと見ていたいと思った理由なんだと思う。

でも、だからといってマーゴとリンカーンが"完璧な人間"じゃないのも良かったです。マーゴが思わず感情を爆発させてしまうシーンにはとても共感したし、あのシーンがあることでより一層彼女の事を好きになれたので。



両親は、メイジーのことを愛しているけれど、それ以上に自分の事を愛しているんだと思う。それが完全に悪いこととは私には言えないし、分からないけれど、それを抑える努力は必要だったんだと思う。




母親はリンカーンとメイジーが仲良くなって行くのをみて理不尽にリンカーンに怒ったりするけれど、メイジーが取られるんじゃないかって焦ったんじゃないかなあ。どうすれば自分の中にあるメイジーへの愛を伝えればいいのか分からなくて、そしてメイジーから愛されているという確証が欲しくて、でもそんなもの分かるはずもなくて。

そんな彼女が最後に少し成長出来たのは良かったな。父親も、途中で自分が何をしているのか気づけたからこそのあの決断なんだろうし。

昔は自分も年を取ればいつのまにか大人になっているんだろう、って思っていたけれど、そんなことないんだなってことが段々と分かってきて。大人になれるのは大人になる努力がちゃんとできている人で、今の私は年齢こそ大人と呼ばれる年齢だけれど、中身は昔とちっとも変ってない。自分のことしか見えていない。だから私はまだまだ親にはなれそうにもない…笑

でも親になれるような中身になったから子供を持つのか、子供を持つうちに責任を背負えるようになっていくのかっていうとそれも分かんないわけで…あれ私何が言いたいんだろう笑

とりあえずメイジーの両親は少なくとも中身は大人じゃなくって、今回の離婚と、メイジーちゃんからたくさん教わって、少し大人に近づけた、って感じですね。
この監督「キッズ・オール・ライト」の人ってことで、今回もちょっと変わった家族の形を描いているんですね。でもまあ家族に普通も異常もないってことなんでしょう。

なんとなく真面目っぽく書いてきただけにこういうこというのアレなんですけど、とにかくアレクサンダー・スカルスガルドの色気がハンパなくてですね…。



新しいパパだよ~って連れてきたのがアレックスとか羨ましいどころの騒ぎじゃないわなっていう…わたしだったらほんとのパパ以上に懐く自信ありますよ…笑

メイジーを演じたオタナちゃんの彼へのなつきっぷりがハンパないのも納得っていうか…とにかく2人のシーンは非常に癒されました。メイジーちゃんがリンカーンを指の銃で撃つシーンとか可愛すぎますよね…。

メイジーちゃんの着ている服とかもイチイチ可愛くって、辛いお話なのに柔らかい雰囲気を感じられたのはファッションとかインテリアが可愛くて素敵だったからかも。お魚柄のワンピース、可愛かった~。