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それは、尾崎さんと初めて迎えたクリスマスが終わり、

新しい年を迎えて数日経った日の事。


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『由香ちゃん、お疲れー!

 ねぇ、ちょっとお茶して帰ろうよ☆』



最近よくバイトが重なる洋子ちゃんは、

同い年の高校三年生の女の子。


同い年というだけで、すぐに意気投合した あたし達は、

バイト帰りにお茶をする仲になっていた。


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駅前のミスドにて。



『ねぇねぇ。由香ちゃん。

年上の人と付き合うって、どんな感じ?』



『え?』



いつも、『恋愛なんて興味ない』と言っていた

洋子ちゃんだったので、

一瞬、質問の意味が分からずに

フレンチクルーラーを口に入れる直前だった手を止めて、

洋子ちゃんの顔を見た。



そんなあたしを見て、

洋子ちゃんは自分の言葉に

自分自身が驚いたような顔を見せ。



『ごめん、何でもない。』


早口でそう言った後で、

食べかけのポンデリングを

パクパクと片付け始める。




いやいやいや。

“何でもない”って。



なんですか、その質問。



『洋子ちゃん・・・。

 もしかして 洋子ちゃん、

 付き合ってる人がいるの?』



あたしの質問に、洋子ちゃんの顔色が変わる



『い、いないよ。そんな人。

 いたらとっくに言ってるし!』



そんなにムキにならなくても・・・。



『そ、そうなんだ。

 じゃあ、好きな人とかは?』



『ちょっと、由香ちゃん

 何 言ってんの?!』



言葉とは裏腹に、

洋子ちゃんの顔が耳まで赤くなった。



(わ、分かりやすいのね・・・。)



込み入った質問をして
気まずくなった雰囲気に、
手にしていたドーナツをむりやり口に押し込みながら、
話題を変えようと急いで飲み込む。



『そ、そういえばさ、今日のバイト中

 ゴミ箱ひっくり返しちゃって。
 また上野さんにバカにされちゃった。』



あたしにとっては何気ない日常の一言。



だけど洋子ちゃんにとってこの話題は、

思いっきりストライクだったらしい。



『う、う、上野さんに・・・。』



同調しながら洋子ちゃんを見ると、

顔が更に赤くなっている。



え?



ええええええ。



ま、まさか・・・・。


ま さ か ?∑(゚Д゚)




鈍感なあたしでも、洋子ちゃんが上野さんという言葉に

反応したのだと直感した。



続く

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