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※話は少し戻ります。
『上野さんが、結婚?』
尾崎さんと付き合い始めて4ヶ月がたった11月初旬。
そんな言葉が、あたしの耳を駆け抜けた。
理恵はワイドショー好きな主婦ばりに目を光らせ、
『そ う な の よ 。
相手はね・・・・。
なんと、椎名さんなんだって!!』
椎名さんというのは、一緒のお店でバイトしている、
あたし達と同じ高校の女の子だ。
いかにも、女の子、という感じの、
華奢で線の細い娘だった。
『椎名さんて・・・。
あの椎名さん?嘘でしょ?!』
理恵はなぜか少し誇らしげに
チッチッチと人差し指を左右に振りながら(←古いな~)
『あと数ヶ月で卒業でしょ。
卒業したら、進学しないで即結婚するみたいよ。』
『その情報、どこから聞いたの?』
『椎名さんと同じクラスに、あたしと同じ部活の子がいて、
その子がね、 相手はバイト先の人らしいって。』
理恵は、剛君の影響で、去年から軽音部に入っていた。
『バイト先・・って言ったって、
上野さんとは限らないじゃん。』
『由香~。あんた相変わらず鈍いね。
椎名さん、結婚するひとは
バイト先の上司、って言ったんだって!
上野さんしかいないじゃん!』
バイト先の上司・・・。
店長→45歳 既婚 子供2人
うーん、ありえない。
浅野MGR→28歳 独身 年上好き 彼女有
そうだ、浅野さんは年上の彼女がいたんだっけ。
これもありえない。
上野MGR→27歳 独身 私生活を明かさないチョイワル男
ありえ・・・・る?
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
『ね?店長は問題外だし、
浅野さんは年上好きだし彼女いるから、考えにくいでしょ?
これは絶対に上野さんだよ。』
『その話だけ聞くと上野さんしかいないけど、
椎名さんと上野さんて、イマイチ接点が沸かないなぁ・・・。』
『だって上野さんて何でもありっぽいじゃん。
恋愛なんてね、そんなもんよ・・・。
まだ経験もしたことないネンネの由香ちゃんには
分からないだろうけどね・・。』
大人びた態度で、理恵がフフンと鼻を鳴らす。
あーそーですか。
どーせあたしはまだネンネですよ・・・。
しかし、これはいいネタを仕入れた。
早速尾崎さんに聞いてみよう。
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