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それは、高校に入学する1週間前だった。


同じ高校に進学する事になっている
友達の理恵からの電話。



『ねぇねぇ。
 高校生になるんだからさ、
 バイト、しない?』



つい先週、中学の卒業式が

おわったばかりだ。

アルバイトなんて、当時のあたしには
全く未知の世界で、考えたこともなかった。



『高校に入学してからでも

遅くないんじゃない?』



引き気味なあたしに

理恵は笑いながら、

“今、亜弥も一緒にいるんだ"と、話題を変え、
とりあえずお茶でもしようよ、と続けて
一方的に待ち合わせ時間と場所を決めて
電話を切ってしまった。


なにぃいいいい。
強引なヤツだなァ。


・・・とは言え、理恵の強引さは慣れっこだったし、
特別予定もなかったので行くことにした。


1時間後。


指定されたミスドに行くと、
バイト情報誌をテーブルに広げて
眺めていた理恵と亜弥がいた。



『理恵が一緒にバイトしようって言うからさぁ・・。』 と、亜弥。



『亜弥がいるなら、二人ですればいいじゃん。』 と、あたし。



『三人で したいのよ。
 ね、ドーナツ食べながら探そうよ!』



『もう3個目だけどね☆』 



亜弥が理恵を茶化すように言う。



『あたしさー、本屋さんとかやりたい』 と、理恵。



『やりたい、って簡単に言うけどさー。

 あたし達まだ15歳なんだから、
 そもそもバイトって16歳からなんじゃないの?』



雑誌をペラペラ捲りながら
亜弥がもっともな意見を言い、
2人ともドーナツを頬張りながら同意する。



『じゃあまず年齢見ながら決めないとね』


3人でバイト探しが始まった。


続く

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