久々の10のものシリーズ。いつから書き始めたか忘れちゃったけど、やっと8まで来ました。
このテーマで書くよー、と気合入れてからの脇道の逸れ方半端なかった、ぐほほ。
わたしには、宝物の寄せ書きがあります。
大学を卒業して最初に勤めた会社を退職するときに、企画部のメンバー全員(+声のでかい本部長)が書いてくださったもの。
そこは化粧品のメーカーで、わたしは商品企画のチームにいました。
今から考えれば、たった3年の勤務でした。
たかが3年、されど3年。
寄せ書きが宝物なのはそうなのだけど、本当はこの3年が宝物なんだと思います。
その会社を辞めてから、ニュージーランドにボランティアに行って、帰国してから、特許事務所に勤めて、編集の学校行ってライターになって、フリーランスで働いて、ブラック企業の編集部で働いて、2年半派遣やって、そしてたどり着いた現在のNGOの仕事。
ハタから見れば転職まみれのわたしの社会人生なのですが、自分の中ではただの一本の道。
それがまっすぐでなかっただけで、くねくねしたり、トンネルだったり、壊れそうな橋を渡ったり、工事中で足止め食らったり、藪の中だったり、のぼったりくだったり。
でも、ただの一本でした。
あの3年は、思い出すと、胸がじんわり暖かくなり、企画部のメンバーの顔が全部思い浮かびます、それも明るい漫画のように。
ドラマでもドキュメンタリーでもなく、漫画。
その漫画の登場人物がちが、色紙(しきし)にびっしりメッセージを書いてくれている寄せ書きを、ときどき読みます。
その頻度は、この10年で50回くらい。
半分くらいの先輩たちの、書いてくれたときの年齢を追い越した今、その先に、いろいろな人生が待ち受けていることを知っていて、送り出してくれたような、そんなメッセージに見えます。
この宝物は、いつ読んでも、わたしを勇気付けてくれるし、なんらかの迷いが生じたとき、これを読むと解決してしまう魔法が詰まっています。
たかが3年、されど3年。
あの3年は無駄がなく、向上心もあり、笑いがたっぷり詰まっていて、毎日廊下をスキップしていたようなそんな日々でした。
仕事はそれなりに厳しく、会議室で涙してしまったこともありますが、そのあと円陣を組むように集まって激励してくれた先輩たちの顔は今でも覚えています。
漫画化されていますが。
会社にいることが楽しくてしょうがなかった。
その分、次の夢にチャレンジしようと思ったのかもしれません、安心しきっていたから。
将来の不安とか、そんなこと考える余裕がないくらい、みんなで応援をしてくれました。
漫画化されていますが。
大人になってどこかに起き忘れてしまったり、自分で捨ててしまったことが、このときのわたしには、まだちゃんとありました。
そのことを思い出させてくれるのも、この寄せ書きです。
ひとつひとつは、吹き出してしまう言葉ばかりですが、みんなの文章は、ライターを名乗っているわたしより、断然面白い、秀逸なものばかり。
奇跡のように、すごい才能のメンバーが集まっていたのではないかと、思ったりしています。
転職したメンバーも多くバラバラになってしまいましたが、また、あの漫画のようなメンバーに会いたくてしょうがなくなっています。
あのころは言葉で、いまは文章で人にいろんなことを与えてくれるみんなに、愛を込めて。