武蔵野中学校練成会、各教科の意義シリーズも、国語・数学・社会と来ました。

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 今回は、理科についてお話しさせていただきます。


 理科については、社会と反対に人間の営みにかかわらず、営々と行われてきた自然界の問題を取り扱います。

 どんな時代であれ、人間が何をしようとも、いつでも自然界で起こる不変の出来事を扱うのが、少なくとも中学・高等学校での理科のテーマです。


 我々人間がどうあれ、自然界が不変で営んでいるということは、そこには社会と反対に「理由は無い」ということがポイントとなります。


 例えば、地球が太陽の回りを約365日で回っていることだけは、様々な観測からはっきりしていますし、基本的に毎年不変な訳ですが、それを研究者に対して「何故ですか?」と聞いても、理由は答えられません。

 立場によっては、「神様がそうなさったのだ」という答えもあるかもしれませんが、少なくとも学校の授業で、神様がそうなさったということを理由に延々解説するということはあまりあり得ないことであると思います。


 つまり、理科の各科目で、答えられることは「自然界のメカニズム」に限られるのです。

 物を投げたらこうなるとか、生物はこういうしくみで成り立っているとか、物質にはこういう特性があるとか、地球は永年に渡ってこのように出来上がっているとか、全てはメカニズムの問題です。

 中高で学ぶ理科については、先達達がしっかりとメカニズムを解明して、知識として確定していることを取り扱いますから、少なくとも学ぶ側からすれば、個人の理屈や事情なぞは交えず、兎に角理解して、その知見を活用出来ればよいのです。


 となれば、理科を学ぶことで、将来社会に役立つことは、「メカニズム(しくみ)がはっきりしているものの活用方法」ということになります。

 「システム」という言葉がよく使われますが、それは老若男女どの人が扱っても、操作によって同じ結果が出るものを言います。

 例えば、ここのスイッチをONにすれば、ここの電気が点くとか、Aという場所に行きたいなら、どこどこの駅から何々線の何々方面の電車に乗って、Bという駅で降りて、バスの何々行きに乗って、Cというバス停で下りれば目の前にある、という類のものは、心が綺麗な人とか心が濁った人とかの問題ではなく、誰でも間違わなければそのように出来るものです。

 正直、全ての一般の人が、そのメカニズムまで詳しい訳ではありません。

 とは言うものの、誰かがメカニズムに詳しく、そのメカニズムを考え、絶対にそうなるように配置し、それをしっかりと維持しているから、社会に役立つものとして活用出来るようになっているのです。

 社会は進歩すればするほど、無数のメカニズムで構成されています。


 喩え、そのお仕事につかなくても、メカニズムを考えることに馴れていれば、応用も利くようになることでしょう。

 一々、そのメカニズムの理由を考察しなくても、既存のメカニズムを応用したり、発展させたりすることで、社会というものは進歩しているのです。


 つまり、その感覚や感性のある人が「アイディア」のある人だと言えるのではないでしょうか。

 経験上、新しいものやアイディアというものは、ひとつのものの発展系にあるというよりは、一見関係ない二つ以上のものをうまく組み合わせた時に、発揮されることが多いようです。それを人は「エンジニアリング」と呼びます。

 それは勿論、理科系のものにばかり存在する訳でもありません。


 ですから、理科を学んで、自然界のことに詳しくなるとか、新しいものを発見して、ノーベル賞を狙うとかも良いのですが、武蔵野では、それ以前にまず「理科を通じて、メカニズムというものを考える感覚や感性やポイントを身に付けることで、社会に出て、アイディアや活用方法を多様に検討出来る人になること」が大切であると考えています。

 理科には理由が無いので、ひたすらそれを知識として身に付けることで、いつかそれらを組み合わせて応用したり、メカニズムを作った人の発想を真似ることが出来るようになれば、将来どの道で何の仕事をしていても、必ず有益なことが起こることでしょう。


 しかも、メカニズムという理科の特性は、イメージ力を養ったり、数学のような段取りが大いに活用出来る場でもあります。

 大体、理科が嫌いという場合は、その現場のイメージが持てないことで、メカニズムを解明した人の感覚に近づけないことが多いようです。

 それには、国語の受け止める力を使っても良いですし、数学の段取りを使っても良いですし、メカニズムを考えた方は人間ですから、社会のように発想を考えて、訳から攻めても良いかもしれません。

 言うなれば、各教科は複合的に機能する面もあるので、学校ではそれぞれの教科を学ぶ必要性を、生徒の皆さんに要求しているのです。


 1月16日土曜日の13時からに最後一回だけある、武蔵野中学校練成会では、国語や算数(数学)が中心で、社会や理科は、奨学金試験であるMPSSの関連でしか語られませんが、出題の意図や教科としての意味合いを感じながら、物事を考えてみたい方は、是非一度いらっしゃってみては如何でしょうか。

 武蔵野中学校を受験なさらない方も大歓迎でお待ちしております。


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