引き続き、武蔵野中学校練成会に関係したお話しです。


 前回は、国語を学ぶ意義を、武蔵野ではまず「相手の話を、賛成反対の前に、余計な解釈を入れずに真っ直ぐ理解してとらえる力をつけること」にあると考えているとお話ししました。

 社会に出て、相手の話をしっかり理解せずに、自分の解釈のことだけを考えて行動していては、信頼が得られなくなるのですから、国語を学ぶという発想から「相手の書いたものを、自分の意見以前に受け止める」という発想に変えることが重要だと、武蔵野では感じています。

 「夜郎自大」な人にならない為に、国語という教科はあるのです。

☆当ブログ、「何故?国語を学ぶのか?」については、こちらをご覧ください。


 今回は、数学(算数)について取り上げたいと思います。


 結論から申し上げれば、数学は第一歩として「段取りを学ぶ」教科であると武蔵野では考えています。

 例えば、「4×3×25」という問題があった場合、前から順番に計算しても答えは出ます。

 しかし、「4×25」が「100」であることを考えれば、かけ算ですから順番をかえても大丈夫という段取りを知っていれば、「300」という答えが簡単に導き出されます。

 また、「73と二分の一」引く「26と三分の一」という計算があった場合にも、

 答えがマイナスにはならないし、二分の一の方が三分の一よりも大きいことを冷静に把握して段取りをすれば、

 「73-26」と「二分の一マイナス三分の一」に分けて考えられますから、全体を仮分数にして一々計算しなくても、「二分の一マイナス三分の一」の部分だけ通分して計算すれば、「47と六分の一」という答えが直ぐに導き出せるのです。

 文章にすると、ややこしくて申し訳ありません。。。。笑


 このように、実は数学で解法のテクニックと呼ばれているものを突き詰めれば、社会でお仕事等をする際の段取りに似ています。

 誰でも、忙しい中効率よく仕事をこなすことを求められるのが実際の社会だとすれば、すんなりシンプルに物事を整理して、順序良くそれを解決していかないと、難しい問題も、大きな目標も消化して乗り越えることが出来なくなってしまいます。

 数学を学ぶことで、あらかじめ問題全体を俯瞰して、冷静に解法のアテを付けてから取り組むという感覚として身に付けたとすれば、大袈裟に言えば、それを社会で応用することは、容易くなることでしょう。


 これも、数学を知るという発想から、段取りを良くするやり方を身に付ける訓練を学んでいるという発想に切り替えたら、もっとリラックスして臨むことが出来るのではないでしょうか。

 現に、偉大な数学者達が、自然に起きていること(面積や体積とか曲線の動きとか)を、シンプルにして、全てに当て嵌まるように工夫することに邁進してきたからこそ、現代に「公式」と呼ばれるものが生まれているのです。


 武蔵野中学校では、現在実験的に数学の時間に「相談タイム」を設けたりしています。先生だけでなく、わかる生徒が他の生徒にも説明してあげて、段取りというものを身に付けることを最優先にしたいと考えているからです。

 また、四則演算の訓練も続けています。計算さえしっかりと自信があれば、いずれ大学受験等の難しい問題に対しても冷静に取り組むことが出来るであろうからです。


 単純に、数学は答えがはっきりしているから好きとか、数学は概念や定義がややこしいから嫌いとか、そういう感覚も良いのでしょうが、長い人生を考えて、段取りを良くすることで、将来の自分の社会生活に役立てる方法の訓練をしているのだと考えて、焦らず数学と取り組んでいただくことを武蔵野では願っています。


 尚、小学生の時に算数が嫌いになったという生徒さんも多いと思いますが、多くのお子さんの場合、小学校で学ぶ算数の「和算的な側面」が単に嫌いというケースもよくあります。

 つまり、鶴亀算、旅人算、植木算、等々のように、代入することを避けて工夫するという段取りに対して訳がわからなくなるというパターンがよく見られるのです。

 しかし、冷静さだけを持っていれば、中学校での数学になると、「代数的な側面」が重要となります。XやYを使って、公式にしっかりと数字を代入して問題を解くと共に、公式の活用方法をしっかりと把握すれば、問題が解けるようになるのです。

 ところが、単に「嫌い嫌い」という気持ちだけで中学生になると、数学になった時に、日本式和算から西洋式代数に変わったことすら気がつかずに、流されて一層混乱してしまうことになりかねないのです。


 武蔵野中学校の算数の入試問題では、その辺を工夫しているつもりです。問題も今年は、元学校長で、武蔵野最年長教諭の肥沼与四郎先生が直接作成しています。

 今年は出さないかもしれませんが、例えば先程述べた計算のようなものや、円錐の表面積(底面の円周と円錐部を円と見て計算した円周を比較すれば、円錐部の扇形の角度がわかる)等の、混乱しやすいけれども、冷静に段取りすれば、簡単に計算出来るものを工夫しています。

 単純な話で言えば、鉄橋を電車が通過する時に、「距離=速さ×時間」だからと言って、鉄橋の長さだけで計算してしまうのではなく、イメージをしてみて、あぁ、電車の先頭が鉄橋に入ってから、電車の最後が鉄橋を出るまでなのだから、鉄橋だけでなく電車の長さも足さなければおかしいなぁ。。。と考える感性が欲しいのです。


 言うなれば、数学は余裕があるか無いかが重要な教科でもあります。

 武蔵野中学校の練成会は、まだ年明けにも一回残っています。問題そのものをお教えすることは出来ませんが、出題の意図や、中学校でどのような力を付けることが大切なのかということから逆算して武蔵野中学校の受験問題が作成されているとすれば、武蔵野を受験しない方にも、充分にお役に立てるはずです。

 もしもお時間のある方は、1月16日土曜日13時から武蔵野中学校で開催いたしますので、ホームページをご確認いただき、是非お越しくださいませ。


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