以前、武蔵野中学校の受験に向けた練成会をご紹介いたしました。

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 練成会そのものは、3回開催され、武蔵野中学校の受験傾向に沿ったお話しや出題意図をお伝えすることが目的ですが、

 背景として、武蔵野中学校の受験問題は、中学校に入ってから、どのような力を付ければ伸びるか、そのような力を付ける為には、どのような実力を見て差し上げるべきか、ということが一番重要な意識として存在します。


 つまりは、出題される問題をお教えすることは出来なくても、受験生にどのような準備をして、どのような力が付けば良いのかはお伝え出来るのです。

 しかも、それは丸暗記とか解法のテクニックを指しません。何しろ中学校で学ぶ方向性の素地が身に付いているのかを見たい訳ですから。


 ここでは、それを細かく解説する紙幅はありませんが、その全ての根幹とは、それぞれの教科は「何故存在し、社会に出て何に役に立つのか?」というところにあります。

 今回は、その中で国語にスポットを当てて、簡単に解説させていただきたいと思います。


 日本の国語教育は、「文芸作品の鑑賞」に偏りすぎたと武蔵野では考えています。

 大学受験が苛烈を極めた際に、難しい問題にする為には、文芸作品を正しく解釈出来る力を見ることが総合力であるとも考えたのでしょうし、それは教養という意味では正しいことであったのかもしれません。

 しかし、全員が文学を志したり、文学部で文芸作品を分析するのではないのですから、現在の大学受験や社会人での必要な力という意味では、幾分のズレが生じてしまっているのが正直なところです。


 武蔵野の考え方では、まず第一に国語は「他人様の言っていることを、正しく理解する為の教科である」ということになります。

 社会に出てどの道に進んでも、他人とコミュニケーションを取る訳ですから、相手の言っていることを間違って理解したり、正しく意図を汲み取れなかったら、全く使い物になりません。

 きっとどのような方でも、一番困り果ててしまう人は、「訳のわからない人」でしょうから。。。笑

 自分の主張をするにも、相手や周囲と全く噛み合わなければ、これは意味を成さないのですから、当然のこととも言えます。


 ですから、国語という教科を通じて、まずは言っていることよりも「書いてあるもの」を対象として、賛成とか反対以前に、相手の主張や考えていることを理解する力を付けることは、将来の社会生活に向けて、とても有益なものになります。

 自分の勝手な解釈ではなく、書いた人の言いたいことを、まずは真っ直ぐに受け止められる力さえ付けば、その後に自分なりの表現や自分なりの意見構築をしていくことも可能です。

 最初に、相手の言うことや書くことを、しっかりと余計な解釈を入れずに真っ直ぐに受け入れられる力や姿勢が身に付くことを、武蔵野中学校では目指しています。


 従って、武蔵野中学校の国語の受験問題では、文芸作品や名のある人の評論等ではなく、武蔵野の先生が、自分で書いた文章を出題しています。

 自分が筆者として伝えたいことを、受験生の方々がどれだけしっかりと受け止めてくれているかを見ることで、評価をして差し上げたいのです。


 勿論、国語という教科は、言語を取り扱う訳ですから、読むだけでは終わりません。自ら書いて表現出来るようにならねばなりませんし、それには漢字や慣用句(ことわざ等)の知識もなければなりません。

 それらも踏まえて、武蔵野中学校の受験問題は、バランスを考えているつもりです。因みに、今年から受験問題を学校長である東出正信先生自らが作成しています。


 ご存知の通り、最近は武蔵野も含めて英語教育の重要性も語られています。

 しかし、外国で暮らしてきた方々といきなり同等の英語力が身に付くとは言えません。やはり一番基礎になるのは、どの国でも「母国語」ということになります。

 喩え、英語が堪能になり、日本語ではなく英語で考えながらスピーディーに英語で表現出来る力が身に付いたとしても、それは背景に子供の頃から身に付けた母国語としての日本語での考える力があるから、それが実現するのです。


 言い換えれば、母国語の力は、思考の深さと比例するものだと、武蔵野では考えています。


 国語の力が付き、言葉やメッセージへの解釈が真っ直ぐに、かつ深くなればなるほど、他の教科への理解も深まることになるのは、冷静に考えれば、論を待ちません。

 人間が社会の中で生きていくことは、即ち言葉を使ってコミュニケーションや思考を活用することと同様の意味を持つことをご理解いただきたいと思います。

 そうすれば、それを学んだ人は、学校の成績云々以前に、社会での力を身に付けることになるのでしょう。


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