大きな都市を離れて小さな島に移ってからは、時間もあるのでダイビングをしていた。そもそもインドネシアを選んだ時点でダイビングをしようとは思っていたが、当初はダイブサイトにすぐ行く予定にはしておらず、自分の中では予定が狂って、小さな島まで辿り着いた。

 

どこの国でもそうだが、経済がある程度に発展するまで、外国人がダイブショップを経営していることが多い。それはまだ現地ではダイビングが一般的になっておらず、外国人がダイビングをすることが多いからである。そして、自分の行った小さな島でもそうだった。

 

 そこにいたガイドはヨーロピアンだったが、彼は半年前にダイビングを始めたと言っていた。そして、半年あればいろんな準備ができると言い切った。つまり、彼は間違いなくスパイで、それすらも隠していなかった。ただし、何を計画しているのかは全く分からなかった。

 

 その後、海に入ると何度もサメが来たと騒いでいた。どうしてそれでパニックになると思ったのかは分からないが、少なくとも、その日の工作はそれがメインのようであった。サメは人を喰うタイプでなければそれほど恐くなく、今までにもサメには何度か遭遇していた。

 

いずれにせよ、何らかの方法で脅すところに目標があり、精神的に追い込んで、自分を落とすところに目標があった。ただ、半年を掛けて、その程度の工作をする意味はいまいち分からなかった。

 

 もしかすると、もっと違う工作を考えていた可能性はある。その島に来る前の島でも自分はダイビングをしており、その時の工作はもっとひどかった。ただし、その工作の方法論を既に見破っており、同じことができなくなっていた可能性がある。

 

 また、島が小さいため、普段は警察がいないらしく、スパイにすれば入りやすい場所だったんだと思う。特に、ドラッグが普通に売買されており、ハイになっている一部の外国人がビーチで叫んでいた。確かに、自分も何度かドラッグを薦められたが、それを買うはずもなく、彼らがそれで自分が落ちると思っていたとも思えない。

 

 そして、複数のスパイがその島におり、もっと昔から工作の拠点にしているようであった。それはドラッグに落とすためなのか、それとも落ちた人間の中からアセットを選別したのか、いずれにせよ、外国人向けの工作を行うために、外国人のスパイが多数そこにはいた。

 

 そして、自分は少し不思議な気分に囚われていた。自分はここに来るように仕組まれているように感じたが、どのようにして誘導されたのかが分からなかった。今ではその大部分が電波操作の結果だと分かっているが、当時はスパイの技術はどこまでできるのだろうと少し悩んだ。

 

 

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