私は、昨年11月で25歳になった。私が生まれた25年前の1990年に開局したFMラジオ局があった。

それは、「Kiss FM KOBE」

「KOBE」とあるように兵庫県にあるエフエムラジオ局である。
私は、千葉県に住みながらもradikoプレミアムでKiss FM KOBEの番組を聞く機会があったので、気になって今回特集することにした。数回にわけて、私が知っていることや手元の資料を参考に紹介しよう。

開局(1990年)から1994年

Kiss FM KOBEは1990年10月1日に全国34番目に開局した。近畿地方ではFM OSAKA(1970年4月1日開局)、FM802(1989年6月1日開局)に次ぐ3番目の民放FM局である。
開局当時は、ネットワークに所属しない独立局であった。

開局当時の商号は兵庫エフエムラジオ放送株式会社(ひょうごエフエムラジオほうそう)でこれが旧法人だった。当初の愛称は「Kiss-FM」であり、1994年9月まで「KOBE」が付いていなかった。
また開局当初は地域性を考慮して神戸市(現・本社)と姫路市(NHK姫路支局内)にスタジオを置く2本社制をとっており、両スタジオを光ファイバーで結びどちらからでも放送できるようになっていた。さらに、新神戸駅前の新神戸OPA(現・新神戸オリエンタルアベニュー)内の「オパスタ」(新神戸OPAが新神戸オリエンタルアベニューにリニューアルされた際にスタジオ名も「新神戸スタジオ」→「新神戸アベニュースタジオ」に改称)や、神戸ハーバーランドに設置されたオープンスタジオ「マリスタ」から自社の番組が公開生放送されていた。

開局後から阪神・淡路大震災前にかけては、国際都市神戸という特性を活かしたおしゃれなマルチリンガル番組が多数編成されていた。

代表的な番組に、

・世界中に存在する「Kiss」のネーミングを持つFM局の番組を毎日紹介する『Kissing The Groove』
・黒田アーサーさんと加藤美樹さんによるカウントダウンプログラム『BANANAFISH DAY~Kiss World Hot Score』
・小曽根真さんがサウンドクルーを担当した『OZMIC NOTES(オズミック・ノーツ)』
・架空のバーを舞台にした人間模様とジャジーな選曲とを織り交ぜたラジオドラマ『バール・サンドリオン』
・假野剛彦さんの『Rendez-vous Cafe(ランデヴー・カフェ)』
・フランス語を基調とした浅尾寿美さんの『ラトリエ・デュ・ソン』

などがある。

その後は、

・ラジオドラマを昼番組に取り入れる
・『La Zone(ラ・ゾーン)』というノンストップミュージックゾーンを折り込んだり
・フィラーに近い深夜の『Nocturne(ノクターン)』

など。

また、1994年には公募サウンドクルーに選ばれた大久保かれんさんの『Karen's Beat Access(カレンズ・ビート・アクセス)』がスタートした。
さらに、同時期に神戸親局の出力が500Wから1kWへ増力し、受信エリアが拡大された。同年10月の改編では和田誠さんデザインの新ロゴマークが発表された。それと同時に、それまでジングルでは「89.9 Kiss-FM」或いは「SeaSide Oasis Kiss-FM(シーサイド・オアシス・キッスエフエムコウベ)」だったステーションコールが「Kiss-FM KOBE(キッスエフエムコウベ)」「Cinderella Station Kiss-FM KOBE(シンデレラ・ステーション・キッスエフエムコウベ)」とうたわれるようになった。

このラジオ局は、国際都市神戸という特性を活かした番組編成、ラジオパーソナリティーを「サウンドクルー」と社内呼称を付けたり、神戸親局の出力増力や1994年10月改編での新ロゴマークの誕生、そして「Kiss-FM KOBE」と名乗るようになり、これらの洗練されたステーションイメージの確立によってリスナーからの支持を得ていった言える。

しかし、年が明けてからあの日の出来事で、この局は一変してしまう・・・。

第2回へつづく。