熱狂のうちに終了した新日本プロレスのG1クライマックス26。
今年のG1の盛り上げに一役買ったのは、間違いなくプロレスリングノアの丸藤正道、中嶋勝彦の出場だったと思います。
二人の出場には、どんな意味があったのか?
丸藤正道、中嶋勝彦それぞれに、違う意味があったと思います。
まず丸藤正道。
彼の場合は、ネームバリューによるG1の集客効果を見込んでのものだったのでしょう。
丸藤正道といえば、若い時から天才児と呼ばれ、三沢光晴の後継者と目されてきました。
ジュニア時代には、史上初のプロレスリングノア、新日本プロレス、全日本プロレスのメジャー3団体のジュニア王者に輝いた実績を持っています。
三沢光晴が試合中の不幸な事故で亡くなった後、ノアの副社長に就任し、文字どおり団体のエースとして、プロレスリングノアを牽引してきました。
プロレスリングノアのGHCタイトルは4つありますが(GHCジュニア王座、GHCジュニアタッグ王座、GHCヘビー王座、GHCヘビータッグ王座)、その全てを戴冠したことがあるのは、丸藤正道だけです。
プロレスリングノアに丸藤正道あり、というのは、プロレスファンの多くに認知されていると思います。
今年のG1は、昨年と同規模の開催ながら、昨年に比べると出場メンバーが大きく見劣りしました。
中邑真輔も飯伏幸太もAJスタイルズもカール・アンダーソンもいないのです。
その分、初出場の新鮮な顔ぶれが揃いましたが、集客力という面では苦戦が予想されました。
そこで、新日本プロレスの実質的な傘下団体となったプロレスリングノアから、エースである丸藤正道を担ぎ出したということでしょう。
効果は抜群だったと思います。
開幕戦からオカダカズチカとの初対決というドリームマッチが実現し、さらに丸藤正道が完勝したことで、G1を大いに盛り上げる役目を果たしました。
さらにG1後も、オカダカズチカのリベンジを受けてのIWGPヘビー級王座挑戦が予定されており、今後も新日本プロレスに貢献しそうです。
次に中嶋勝彦。
彼の場合は、新日本プロレスの実質的な傘下団体となったプロレスリングノアの次代のエース候補を、新日本プロレスファンにお披露目するという狙いがあったと思われます。
「佐々木健介の息子」として、若干15歳でプロレスデビューした中嶋勝彦は、現在28歳。
奇しくも、オカダカズチカやSANADAと同世代です。
健介オフィス活動停止後は、プロレスリングノア所属となりました。
丸藤正道は現在36歳、その後を継ぐエース候補の筆頭格です。
プロレスリングノアでエース候補といえば、潮崎豪(33歳)もいますが、彼は一度プロレスリングノアを退団してしまったことで「出戻り」とのイメージが強く、エースになったとしても暫定的だと思います。
丸藤正道の正統な継承者は、中嶋勝彦なのです。
新日本プロレスファンには、まだまだ認知度が低い中嶋勝彦を、G1に出場させることによって、彼の存在を新日本プロレスのファンに広く知らしめ、プロレスリングノアも観てもらうように誘導するということではないでしょうか。
中嶋勝彦は、見事に期待に応え、特に最後の公式戦であるマイケル・エルガン戦では、自身のベストバウト級の試合内容で、現役のIWGPインターコンチネンタル王者から、勝利を奪い、存在感を示しました。
このように、丸藤正道と中嶋勝彦は、課せられた役割を見事に果たし、G1の集客増、プロレスリングノアの認知度向上に、一役買ったと思います。
二人のG1出場は、大成功したと言えるでしょう。