急速な経済発展と共に登場した富豪に支えられ、大物プレイヤーを獲得しまくる中国サッカーとは対照的に、厳しい現象を待ち受けている国がある。
韓国だ。
昨年、韓国サッカー界は悪夢のような年だったでしょう。アジアカップは3位に終わり最低限のノルマは達し、まずまずのスタートを切ったはものの、韓国の英雄であるマンチェスター・ユナイテッドのパク・チソンの代表引退を皮切りに、宿敵日本代表に0-3とコテンパンにやられ、Kリーグの八百長問題が韓国全土を大きく揺るがした。また、ワールドカップ3次予選で敗退の危機に生じるなど、散々な年であっただろう。
今年こそは…と意気込んだ今年早々、韓国サッカー界にいきなり悲報が流れる。まずは、韓国代表の主将でエースであるアーセナルのFWパク・チュヨンが所属クラブで2軍降格を命じられた。また、八百長問題に絡んだ元韓国代表FWチェ・ソングクが、世界初のサッカー界から永久追放された。チェ・ソングクはKリーグから永久追放され、マケドニアリーグへ活躍の舞台を移した途端に、サッカー界から永久追放するとの告知をFIFAから受けた。先に述べたようにサッカー界から永久追放されるのは世界初だ。
何とか、ワールドカップ3次予選は突破したはものの、更なる悲報が流れる。予想通り、八百長問題に揺れるKリーグの人気低迷だ。
Kリーグの主な最も最近(3節or4節)の観客数
全北現代---8992人
水原三星---9227人
蔚山現代---1107人
FCソウル---25811人
浦項---9134人
城南一和---6725人
尚州尚武---2043人
釜山---2899人
済州---6419人
仁川---2053人
全南---2813人
光州---3020人
慶南---2404人
大田---3節、4節にホーム試合なし
江原---5172人
大邱---5729人
FCソウル以外で、観客数を1万人を越えているクラブは1つもない。
そもそも、八百長問題が起きたのには、きちんとした訳がある。Kリーグの平均年俸は500万円でルーキーの年俸は120万円と言われている。年俸の他に貰える変動給や物価の関係を考慮しても高いとは決して言えない。ちなみに、こちらも八百長に絡んだとされる韓国プロ野球も平均年俸は、わずか650万円である。ここから税収を取られると考えると、サッカー以上に厳しいかもしれない。
また、これが韓国の有力な若手のJリーグ入りを大きく動かしている。U-23韓国代表はJリーグに15人もいる。中にはJ2やJFL(実質3部)でプレーする選手もいる。
各選手の年俸or推定年俸は以外の通りである
GK イ・ホンス(コンサドーレ札幌)
720万円
DF キム・ヨングォン(大宮アルディージャ)
1600万円
DF チャン・ヒョンス(FC東京)
1000万円
DF ファン・ソッコ(サンフレッチェ広島)
1000万円
DF キム・ジンス(アルビレックス新潟)
800万円
DF チョ・ソンジン(カマタマーレ讃岐)
360万円
MF キム・ボギョン(セレッソ大阪)
2500万円
MF ペク・ソンドン(ジュビロ磐田)
1500万円
MF チョン・ウヨン(京都サンガFC)
1000万円
MF キム・ヨングン(アルビレックス新潟)
800万円
MF ハン・グギョン(湘南ベルマーレ)
700万円
MF キム・キヌ(サガン鳥栖)
550万円
FW チョ・ヨンチョル(大宮アルディージャ)
2300万円
FW ペ・チョンソク(ヴィッセル神戸)
800万円
FW チェ・ジョンハン(大分トリニータ)
450万円
Kリーグからすれば、かなりの高年俸。もちろん納税後で、変動給を考慮するとKリーグよりかなり高い給料になりそう。八百長の心配はなく、さらに欧州のスカウトは多い。U-23韓国代表に選出されたことのない若手韓国人プレイヤーもJリーグには多い。
Jリーグは多くの良質選手を欧州に持っていかれているが、Kリーグは多くの良質選手をJリーグに持っていかれている。
また、
Kリーグの得点ランキング(4節終了時)は、
1位 モリーナ 5得点
(FCソウル/元コロンビア代表)
2位 サントス 4得点
(城南一和/ブラジル)
2位 ラドンチッチ 4得点
(水原三星/セルビア)
2位 ジク 4得点
(浦項/元ルーマニア代表)
2位 イ・ドングク 4得点
(全北現代/韓国代表)
6位 パウロ 3得点
(光州/ブラジル)
……続く
と外国人プレイヤーばかり…
一方の欧州でプレーする韓国人選手の活躍ぶりは…
-エースクラス-
なし
-レギュラー-
MF ク・ジャチョル
(アウグスブルク(GER)/韓国代表)
DF パク・チュホ
(バーゼル(SUI)/韓国代表)
MF キ・ソンヨン
(セルティック(SCO)/韓国代表)
-ベンチ-
MF パク・チソン
(マンチェスターU(ENG)/元韓国代表)
FW チ・ドンウォン
(サンダーランド(ENG)/韓国代表)
FW ソン・フンミン
(ハンブルガーSV(GER)/韓国代表)
FW チョン・ジョグッ
(ナンシー(FRA)/韓国代表)
FW ソク・ヒョンジュン
(フローフニゲン(NED)/韓国代表)
DF チャ・ドゥリ
(セルティック(SCO)/韓国代表)
MF ユン・ジュデ
(FSVフランクフルト(GER2部)/韓国)
-負傷中-
MF イ・チョンヨン
(ボルトン(ENG)/韓国代表)
-構想外-
FW パク・チュヨン
(アーセナル(ENG)/韓国代表)
MF キム・インスル
(CSKAモスクワ(RUS)/韓国)
FW イ・ヨンジェ
(ナント(FRA2部)/U-23韓国代表)
と、ほとんどの選手が試合に出場できていない。
スポンサー移籍を繰り返した結果、身の丈の合っていないチームに入団し、スポンサーの条項に「ベンチ入り」を入れたはものの、試合に出場できず選手の成長を大きく阻害している。
ちなみに、レギュラーを獲得している3選手は、いずれもスポンサー移籍ではないと言う共通点がある。
パク・チュヨンは、現在、2軍の試合に出場しているが、周りはもちろん10代の若手ばかり。精神的に、かなりきついだろう。これだったら、フランス2部のASモナコでプレーしておけば…と思ってしまうだろう。実際、スポンサーの存在がなければ、パク・チュヨンのアーセナル移籍はあり得なかった。選手のためを思ってしたスポンサー移籍が、返って、選手を苦しめ、選手の成長を阻害している。
年俸の安さから招いた八百長問題。八百長問題が招いたKリーグの人気低下、さらなる年俸低下。Kリーグの人気低下、さらなる年俸低下が招いたKリーグの良質選手の日本行き。
この悪循環の大きな原因の一つに年俸の安さがある。
この年俸の安さが、原因なら、韓国人プレイヤーが所属する欧州クラブに就いているスポンサーはKリーグクラブに就くべきではないか?
そして、スポンサー移籍を辞めれば、
多くの選手が身の丈に合ったクラブ(JリーグやKリーグ)でプレーでき、そこで更なる成長を遂げれば、スポンサーの力など不要で、欧州のチームに入団、活躍できるのではないか?さらに、Kリーグの年俸も上がり、Kリーグの空洞化の防止が可能となったり、大物外国人プレイヤーの獲得が可能となり、Kリーグの人気が復活するのでは?
僕は、このような好循環が生まれると思う。
現に、スポンサー移籍をしなかったセレッソ大阪に所属する韓国代表MFキム・ボギョンは、スポンサーの力無しで、欧州移籍できそうだ。仮に移籍先がイングランドならば、恐らく韓国人史上初のスポンサー移籍以外のイングランド移籍となる。
韓国サッカーの暗黒時代を迎えた大きな原因は、スポンサー移籍ではないか?
いや、間違えなく、そうだ。
日本も他人事ではない。
日本も、カズがイタリアに移籍したのはスポンサー移籍だったし、韓国と同じ道を歩みかけた。しかし、たまたま、多くの日本企業の不況となり、欧州クラブのスポンサーに就く余裕がなくなると言う幸運が重なり、スポンサー移籍がなくなり、今の日本サッカーがある。
この事実に気付かない限り、韓国サッカーは成長するだろうか?
韓国のスポンサー移籍一覧
http://ameblo.jp/mtfukukoi-soccer/entry-11152321269.html
サッカーの年俸と野球の年俸の違い
http://ameblo.jp/mtfukukoi-soccer/entry-11202876813.html
中国サッカーに関する記事
http://ameblo.jp/mtfukukoi-soccer/entry-11205216913.html