しばらく仕事を休み
父の看護で過ごす日々
指一本触れるだけで
あの世に旅立ってしまいそうな
そんなデリケートな時期を
奴はまた乗り越えた
そして次は実兄のトラブル
行くところも無く
腹をすかして
車で寝泊まりして
どんだけツライ思いをして
やっと今にたどり着いたのか
安住の地を手に入れると
途端に今に不満を吐き散らし
すべてを投げ捨てて
またゼロから始めると言い出したらしい
せめて
父の没後にやってくれたらよかったのに
誰も関心をもたず
好きにやって好きに朽ちてしまえって
軽く笑い飛ばされて
そのまま忘れられてればよかったのに
義理の姉は
亡母になんとかしてくださいと
毎日手を合わせているらしい
でも
死んだ奴に何を望むっていうんだろうね
いや、何ができるのかって
すべては今の自分次第
今までの過ちと向き合って
一秒先の未来を見据えて
しっかり判断していかなきゃいけない年齢なのにね
自分のことで
いつも精一杯で
その度家族に迷惑をかけるオレ
少しずつでもいい人間になろうとしてんのに
甘えて寄り道をしてしまう悪い癖
すべてを自分とは関わりがないと切り捨てられたら
と思いながら
自分を切り捨てられることを何よりも恐れる
父より先に神に召されたいと思いながら
残された者たちの苦痛は経験済みだから
同じ思いを愛する家族にはさせたくもなく
答えの出ない独り言に今夜も潰される